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続 デジスコ導入記−その5 2010/01/10
        −−−− デジスコの行き着く先は? −−−−

 2003年4月にデジスコを導入し、使い方を研究し、解決できない不満点は我慢しながら使い続けてきたわけであるが、2004年7月にデジタル一眼レフのニコンD70とタムロンのレンズ28-300mmを購入、2005年7月にタムロンのレンズ200-500mmを購入により、デジスコの出番が次第に少なくなってきた。 そして、2008年にデジタル一眼レフニコンD90を購入。D90と200-500mmレンズの組み合わせが使えるようになり、昨年2009年はついにデジスコの出番はゼロで終わってしまった。デジスコを始めた頃研究のためデジスコ関係のネットサイトをよく見ていたのであるが、デジスコを賞賛していた人が、デジタル一眼レフとロクヨン(600mmF4)レンズを持った途端にデジスコを全く使わなくなったのを見て「なぜだろう」と疑問に思っていたものである。撮影倍率ではデジスコの方が断然上のはず、鮮明度でも劣らないのになぜか。自分自身がこれと似たことをするようになってその疑問が解けたように思う。野鳥フィールドへ行っても、バードフォトグラファーは増えているが、一時期と比べてデジスコは減り、ロクヨンやヨンニッパの大砲を付けたデジタル一眼の比率がかなりアップしている。
 
 自分自身も含めて、なぜデジスコを使わなくなってきたのか・・
最大の原因はデジタル一眼レフカメラの普及であろう。デジスコの特長に1.大きく写せる 2.軽量&コンパクト 3.簡単 4.安価(デジスコドットコムより)が挙げられるが、1.大きく写せる については、600mmレンズにテレコンバーターを付ければデジタル一眼では1800mm程度は可能になるのでデジスコでよく使う倍率に匹敵する。さらに最近のデジタル一眼では画素数が1千万画素を越えているので、かなりのトリミングの余裕があり、トリミングを含めればデジタル一眼レフでデジスコと同等まで大きく写せるのである。2.軽量&コンパクト についてはデジタル一眼と比べてあまり差は無いのではないだろうか。デジスコでも完璧を図ろうとすれば、装備に色んな物が増え、かなり重く大きく形状も複雑になってしまうのである。一方デジタル一眼では筆者が使っている200-500mmレンズなら80mmΦ相当のレンズでありながらデジスコよりもかなり軽量なのである。3.簡単 についてはもはやデジスコの特長とは言えない。デジタル一眼なら完全なオートフォーカス、オートエクスポージャーが使えるので捉えてシャッターを押すだけでよいのだ。デジスコではどうしても対物レンズと接眼レンズの光軸がずれているので照準器で捉えて、スコープのピントを合わせる作業が必要なのである。そして4.安価 について、確かにロクヨンやヨンニッパは高価であるが、今のバードフォトグラファー層はお金持ちのリタイア層であり、趣味のためなら百万円程度の出費はものともしない方々が大半である。そんな恵まれた層でなくても、デジタル一眼はかなり安価な機種も出てきたし、超望遠レンズについてもデジスコ程度の明るさのレンズなら、スコープと同程度の価格で入手可能になったのである。
 
 そして、何よりもデジスコからデジタル一眼に移行した理由は、野鳥発見〜レリーズの時間であろう。デジスコでは調整済みセットを担いで歩いていたとして、野鳥発見→三脚を立てる→必要により高さ調節する→照準を合わせる→スコープピントを合わせる→シャッターを切る の間で最短でも5秒、通常なら15秒程度はかかる。それに連写機能はデジスコに使えるコンパクトデジカメでは弱いものである。デジスコをリュックに入った未セット状態から組み立てようとした場合には数分はかかるものである。しかも、照準器やレリーズケーブル、液晶ビューアーなど後付突起物も多いので持ち運びにも不安定である。これに対し、デジタル一眼と超望遠レンズセットならレンズが明るいので手持ち撮影も可能である。これなら野鳥発見→ファインダーに捉える→シャッター半押しでオートフォーカス→シャッター全押し で運が良ければ1秒というのも可能である。通常は2〜3秒でしかも秒間3〜10コマで数十コマは連続撮影が可能である。三脚を付けていても三脚セットに1,2秒増える程度である。
 
 結局、野鳥撮影機材の行き着く先は超望遠レンズ付きデジタル一眼レフということになるのであろうか。ただ、筆者はここのところで20倍とか25倍の高倍率コンパクトデジカメも欲しくなってきた。歳のせいかも知れないが、超望遠レンズ付きデジタル一眼と三脚ではそこそこ重量がある。「野鳥を撮るぞ」という気構えで出掛ける時は何とか持っていくが、気楽な散歩で花が咲いておれば花を撮り、野鳥がおれば野鳥を撮るというような撮影には高倍率コンパクトデジカメということになる。現状ではテレ端で500mm超、これに×2テレコンレンズを付ければ1000mm超の撮影が可能になる。しかもカメラ重量は400g弱、テレコンレンズを付けても700g程度で可能になるのではないだろうか。もう少し待てば光学30倍ズーム機*1などが出てきてテレコンレンズも不要になりそうな気がする。実際デジスコをメインに使っているバーダーでCASIOのF1やFH-20、EX-FH25をサブ機として使用する者が増えている。野鳥撮影の究極の機材は「高速連写機能を持つ高倍率コンパクトデジカメ」ということになるのではないだろうか。
 *1)2010年02月現在既に30倍ズーム機(オリンパスSP-800UZ、富士フィルムFinePix HS10)が発表されております。

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