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デジスコ導入記−その2 2003/05/18
 デジスコ入手から1ヶ月ちょっと経った。その間の使用感を述べてみたい。

《俄かバーダー》
 デジスコを買った最大の理由は超望遠を使いたい、そして野鳥を撮ってみたいということであったため、花も撮ったがとにかく撮影対象は野鳥である。
 我が家からそう遠くない距離にバードウォッチングで有名な道満グリーンパーク・彩湖・秋が瀬公園・大久保農耕地がある。そうなんです!近くで野鳥が撮れるというのもデジスコ購入の理由になっていたのです。それまで公園で野鳥を見ても、それが何という鳥か知ろうともしなかったし、まして写真に撮ろうともしなかった。どうせ撮っても黒い点でしか写らないからであった。それが、デジスコを持った途端にバーダーになってしまったのだ。
 仕事を持つ身で毎日使えたわけではなく、休みである土日祭日しか使えないのだが、取敢えず今日まで休みが11日間あった。でも、実際にデジスコを持って出掛けたのは8日間。雨の日までもデジスコを持ち出す程狂っていない。というか、撮る相手がおれば行ったかも知れない(・・と、言うことは狂っているのだが、実際昨日は小雨でも出掛けた)。ただ、デジスコを入手した時期が遅かった。彩湖の冬の渡り鳥は既に居なくなっていたし、小鳥類はというと新緑がどんどん茂って声はすれども姿は見えず。撮りに行っても撮れない状況が何度も続いてしまい、狂うにもくるいようがない状態である。

《雨や曇りには使えない》
 雨の日は駄目というのには濡れるという事以外にもう一つ理由がある。デジスコは超高倍率のため、暗いのである。それに葉が茂るとすごく暗い。だから、雨の日はもしかしたらシャッター速度が1秒というようなことになり、撮れないのである。曇りでもちょっと雲が厚いと1/5秒とか1/10秒になり、静止してくれる相手なら何とかなるが、それでも非常に歩留まりの悪いものになり、100枚撮ってブレ無しは1〜2枚しかない状態となる。こんな時は必ず期待した構図のものがブレており、結局は使えるものはゼロという結果になるのである。こんなことが2〜3回あると晴れた時しか駄目だという固定観念がしっかり根付くのである。

《鳥撮りは1日仕事?》
 それほど探鳥が難しくなった時期なのに、なぜか野鳥関係のウェブサイトには「今日撮りましたと」とオオルリやキビタキなど夏鳥のきれいな写真がアップされるのである。うらやましいというか、どのようにして見つけるのだろうと不思議に思える。でも、鳥が居ないわけではない。確かに鳴き声は聞こえるのだから間違いなくいるのだ。自分の探し方が足りないのだろうか。あるいは粘りが足りないのだろうか。まあ、私のようにデジスコ担いでぶらっと一回りして何も見つからなかったらあきらめるというのでは駄目かも知れない。椅子でも持っていって、1日中粘れば、鳥の方もそんな馬鹿な人間の顔をみてやろうとひょいと見にやってくるかも知れない。

《公園は早朝でも人が多い》
 鳥を撮るなら早朝と言われている。なぜかというと、鳥は朝が早い。フクロウのような夜行性は除いて空が白み始めると、もう飛び立ち朝の食事を始めるのである。それで私も夜明けと同時に出掛けてみた。公園には既に鳥見の先客が何人もいる。鳥見だけではない。ウォーキング、ランニングをする人、犬の散歩の人と、何と朝の早い人の多いこと。デジスコ鳥撮り初心者の私は中級品のデジスコセットを担いでいるのを見られるのがちょっと恥ずかしくて気が引けるのである(たぶん高級品なら胸をはって担いでいけるかも知れない)。先着の鳥撮り達は鳥の出る場所を知っているのか、10名程がバズーカ砲一眼や高級デジスコを並べて何やら情報交換らしきことをやっている。その辺りはどうやらカワセミがいるらしいのだが、レンズの先を見てもいない。隣に私のデジスコを並べるにはあまりにも見劣りがするので、そっと通り過ぎて、他に何かいないか探してみるのだが、声はすれども姿は見えず。その声も少し離れている。そっちの方に歩いてみるが、囀りはいっこうに近くならない。近くは静まりかえっている。囀りの方向に歩いてきたはずなのに、いつの間にかその囀りは後ろの方から聞こえてくる。うろうろしている内に周りで数羽のカラスの鳴き声。当然小鳥は逃げてどこかへ行ってしまっている。こうなるとカラスが猛烈ににくたらしく思えて睨み付けてやる。しょうがないのでカラスでも撮ってやろうかとカラスにレンズを向けるが、あっちの方を向いたまま、次の瞬間飛び立ってしまう。カラスすら撮れない。仕方なく、場所を変えて開けたところにいるムクドリやツグミ、図体の大きなサギやカワウ、アオサギなどの水鳥を撮ってデジスコの練習をしてきた次第である。これらの鳥はどこででも見られるので、バーダーの関心外で撮っている人は誰もいない。でも、以前の自分にはこれらの鳥も大きく撮れることは無かったのが、逃げられる心配のない十分遠い距離でも画面いっぱいに鳥の表情までわかるように撮れる。一人で人目を気にせず練習が出来た次第である。

《練習に練習を重ねて》
 デジスコを使うには本当に練習が必要なのだ。静止したものを撮るなら何とかなるが、鳥は動くのである。
 @まず鳥を見つけること。これは上述の通り、かなりその鳥の習性を知って、現場にかなり粘らないと駄目なので、もう少し熟練してからにすることにした。見つけ易い鳥を見つけたら、
 A光の方向と、背景の良い場所にデジスコセットを置き三脚を伸ばし高さや傾きを調整する。・・・が、こんなことに時間をかけていたら、原っぱのムクドリやツグミでもどこかへ行ってしまう。慣れるまでは、見つけたらその場でサッと撮れる体制を作るのだ。三脚は伸ばしたまま担いで歩く。デジカメの電源は入れたまま(オートパワーオフ機能は切っておく)、ズームは画面に捉え易いようにワイド側にしておく。そうすれば、置けばすぐに撮れるのだ。
 Bデジスコをセットしたら鳥の方向に向けて照準器を使って画面に捉える。画面に入ったらスコープのピントを合わせる。CoolPixならピントのピーキングをオンにしておけば一発で合わせられる。スコープのピントは厳密でなくてもデジカメのオートフォーカスが最終的なピントを決めてくれる。
 Cピントが合ったら即連写で数枚撮る。この段階で相手はもう動いて画面にいないので、
 D動いた方向に照準を合わせて、ズームを操作して適切な大きさにして再度スコープのピントを合わせて連写する。
 E相手がまだ遊んでくれそうだったら、ここで余裕を感じて光の方向や背景の良い位置へ移動して、構図も考えて、露出補正を加えてスコープのピントを合わせて連写する。
 上の一連の作業でEまではなかなか行けない。最初のシャッターを切って次に移る頃には、犬の散歩がやってきて鳥達は一斉に逃げてしまう。どこにでもいる野鳥でもこの通りなので、珍しい鳥になると事前の知識や調査に加えて、幸運の重なりも必要になる。この貴重なチャンスを逃さないようにするには、いかに短時間で正確なシャッターを切れるかにかかってくるので、無駄な調整が不要な機材の設定と使いこなす訓練が必要になるのだ。

《乞うご期待》
 秋〜冬の野鳥シーズンまでは、十分な練習を重ねて、シーズンには思いっきり撮って、作品と呼べそうなものを撮ってみる所存である。

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