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23.望遠鏡を利用して超望遠撮影

 デジカメはレンズの焦点距離が短く、レンズ径も小さいものが一般的のため、普通の望遠鏡や双眼鏡と組み合わせて使えるものが多いのです。これは略して「デジスコ」と呼ばれ、デジカメとスコープ(バードウオッチング等に使う望遠鏡)を組み合わせた使い方で、野鳥撮影などに使われます。また天体望遠鏡や顕微鏡との組み合わせも「デジスコ」と呼ばれるようです。
 望遠鏡をカメラで覗くとケラレで丸く見えるのではないかと思われ勝ちですが、デジカメを望遠側にすると何のケラレもなく、一眼レフカメラに超望遠レンズを付けたようにきれいに写ってしまいます。デジカメではモニター画面で確認して撮影できるので、千数百mm相当の超望遠撮影ができるのです。おそらく一眼レフカメラに千mm以上の望遠レンズを付けた機材を揃えたら百万円以上はかかりそうです。これが、スコープとデジカメとアダプターと三脚があれば可能で十万円前後で可能ではないでしょうか。これに使うデジカメは3倍ズーム程度の小型の中級機でアダプターが付けられる機種が適しています。レンズの大きい高級機はスコープの接眼レンズに対して大き過ぎてケラレが出てしまいます。

 これと同じ原理で、数千円の安い双眼鏡でもデジカメとうまく組み合わせれば、やや画像の鮮明さや色収差に難はありますが、撮れてしまいます。筆者はスコープすら買えないので、こんなもの(右の写真)を作ってみました。これは、家にあった安〜い双眼鏡(対物レンズ径22mm)とFinepix6800Zを組み合わせたもので木工工作で三脚に取り付けたものです。Finepixの後方の白いものは、屋外で液晶モニターが見やすいようにするためのフードです。
上左の写真はFinepix6800Zの3倍ズームの最望遠側で撮ったもの、そして右は双眼鏡を通して撮ったものです。これ以上大きくするとプライバシーを犯しそうなくらいすごい望遠になったことがおわかりと思います。ここの写真はトリミングなどの加工は一切行っておりません。
 これだけ望遠になると月も撮ってみたくなります。3倍ズームで撮った場合は米粒程度にしか撮れないのですが、こんなに大きく撮れました。
 しかし、超望遠を使いたいのは何といっても野鳥撮影です。我家にやってきたヒヨドリを撮ってみました。下の左は3倍ズームで撮ったもの。4m程度の距離ですが、こんなものです。双眼鏡を通して撮ったものが下の右ですが、大きさだけはすごいですね。いい場所に来てくれなかったのと、双眼鏡のレンズが小さいので日が当っていてもF2.8で1/50のため、シャッターブレ(Finepix6800Zはリモートケーブルもリモコンも付かない)と、被写体ブレでこんなものしか撮れません。自作デジスコは明るい静止体しか撮れないシロモノでした。双眼鏡の対物レンズがもう少し大きければ使えるものになりそうです。
 そこで、我家にもう1台対物レンズ径50mmの双眼鏡が在ったのでこれを使ってみました。これだと晴れておればシャッター速度1/180程度になり、何とか撮れます。
 そこで早速試し撮りに出掛けたのですが、あいにく曇りでようやく撮れたのが左の写真です。鳥はたぶんツグミだと思います。f2.8,1/30で、相手は激しく動いているので殆どブレてしまいました。
 双眼鏡のピントを合わす作業とデジカメのシャッタータイムラグのため、シャッターチャンスを捕らえるのは無理で、闇雲にシャッターを切り、後で良いものを選ぶというやり方になってしまいます。

 以上の実験を通じて判った事は次の通りです。

@本格的に超望遠撮影をするなら、スコープ、デジカメアダプター(アダプターの付けられるデジカメが前提)、しっかりした三脚、レリーズ(リモコン)は不可欠である。
A日陰にいる野鳥などを撮るには、対物レンズ口径は最低でも60mmは必要である。
B写真に撮ると色収差は致命的に目立ってしまうので、EDレンズ(特殊低分散ガラスを使った色収差が極めて少ないレンズ)は不可欠である。スコープの価格は約2倍で最低でも7万円程度になります。
Cスコープのピント合わせはデジカメの液晶モニターで行うため、かなりの熟練と見るための工夫が必要である。

 追記:こんな実験を行った結果、筆者もどうしても本格的なデジスコが欲しくなり、購入することになってしまいました。
     デジスコ導入記

その後、デジスコやデジタル一眼レフ+超望遠レンズを使った野鳥撮影の成果を当サイトの「野鳥写真」におさめております。

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