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25.事前調査と粘り

 ここまで色々、所謂ネーチャーフォトグラフィーのデジカメ撮影の基礎技術的な話をしてきました。
 いい写真を撮れるかどうかについては、機材や技術も必要ですが、撮る人のセンスと、チャンスが重要です。センスは生まれつきの才能と経験により磨かれるでしょう。最後のチャンスも重要で、このチャンスが写真撮影にとって一番大変なのではないでしょうか。チャンスというと何か受動的な感触があります。確かに撮影者にとってコントロールのできない受動的な部分もありますが、それだけではなく、「チャンスを作る。」「チャンスを活かす。」という要素がかなりあります。

 では、チャンスを作ったり活かしたりはどうすればよいのでしょうか? 実は筆者はまだそのレベルに到達していないので、これだ!とは言えません。しかし、すばらしい写真を撮っておられる諸先輩方の活動状況やお話からして、推測すると、「事前調査」と「粘り」にあるようです。事前調査はいつどこにどんな良い被写体があるのか、少なくとも彼らが活躍する範囲に関しては詳しく調査し、熟知されています。そして、年間スケジュールを作り、○月○日頃には何処其処に□□の花が撮り頃になる。そして、天候が晴れておれば、朝霧がかかるので、○時頃、この位置から撮れば、山を背景にした□□の花のすばらしい写真が撮れるはずだ。というようなシナリオが出来上がっており、これに沿って撮影活動をされているようです。そうすれば闇雲に撮ってまわるよりは、かなり高い確率で良い写真が撮れることでしょう。これだけのシナリオを作るには相当な調査が必要です。

 しかし、自然はシナリオ通りにはなってくれません。シナリオ通りに晴れるとは限らないし、例え晴れてもシナリオ通りに朝霧がかかってくれるとは限らないですね。従って、シナリオは1つではなく、曇ったらどうする。朝霧がかからなければどうする。などいく通りも作らなければなりません。そのための調査は膨大なものになるでしょう。だから、このような情報はそう簡単には他人には教えてくれないのです。インターネットで調べても、詳しい場所や撮影日、時間の情報は少ないですね。

 花なら大体毎年ほぼ同じ時期に咲いてくれますが、ここに鳥や昆虫を入れるとなると、かなりの幸運が伴わなければなりません。これも受動的な幸運にまかせるのではないようです。花と鳥(何かきれいな鳥)あるいは花と蝶(きれいな珍しい蝶)にめぐり合うには、かなりの時間そこで待つ。すなわち粘りが必要になるのです。長時間粘れば、限りなくゼロに近い確立も0.001%というように可能性が出てくるのですね。

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