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10.花を撮る

花を撮るとき、
1) 花はマクロ(接写)
 花の美しさは大きくした方が表現し易い。花を画面いっぱいに写すには、マクロ設定が必要になります。

2) バックが邪魔ならボカす。バックと距離を確保。絞り優先で開放絞り。望遠。
 花の背景がごちゃごちゃしていると折角の花が冴えません。そんな時は背景をボカシてわからなくしてしまいましょう。絞り優先で開放にし、ズームは望遠側にすると背景はボケます。花と背景の距離を大きくすれば、ボケ度合いも大きくなります。
絞り:f3.5(開放)
シャッター:1/30
35mmフィルム換算:199mm
天候:曇り
コスモス畑の向こうに人が居たり、トイレがありますがボカスことにより、何があるか判りません。その先の森と一体になって暗部となっています。
晴れておれば、もっとコントラストが強くなったでしょうが、曇りのため全体がソフトな感じになりました。

3)ピントはメシベに
 絞りを開放にすると、被写界深度が浅く、ピントの合う範囲が狭くなります。この場合どこにピントを合わせればよいか迷うことがあります。間違いの少ないのが、メシベに合わせておくことです。花を横から撮り、メシベが見えないなら、花びらの輪郭にピントを合わせましょう。

4)絞り優先で被写界深度を調節
 上述のように、メシベにピントを合わせただけではどうしてもすっきりせず、花全体をシャープにしたい場合は、絞り優先で、1〜2段階絞って被写界深度を深くしましょう。ただし、この場合、背景のボケ具合も少なくなります。

5)白や黄の明るい花なら露出をマイナス補正
 「色の美しさは露出で決まる」で述べた通り、白や黄の明るい色の花で、背景がこれより暗い場合は露出をマイナス補正しましょう。背景が空など明るい場合は補正無しか、逆にプラス補正になります。

6)花を明るく、バックを日陰にすれば浮き出す
 花を浮き上がらせるには、背景が日陰など暗くなるように撮影位置を選びましょう。そして、露出をマイナス補正すれば、暗いバックに花が明るく浮き上がります。

7)日の丸弁当式より、花の向く方向をやや大きく空ける
 ファインダーで花を狙うと、通常AFの合焦位置が中央であるため、花を画面の中心に合わせてしまいがちです。シャッターボタン半押しでピントが合ったら、少しずらせて構図を考えましょう。基本的には、花の向いている方を少し大きく空けるのが良いでしょう。ただ、バックや周囲の配置によるので、必ずしもこれがベストとは言えません。

    

左は日の丸弁当になってしまっています。
中央はツボミを脇役に配置、露出補正なしではややオーバーで、花が浮き上がりません。
右は露出マイナス補正し、バックを暗くすることにより花がくっきりしました。

8)蕾や別の花を脇役に添える。脇役はボカしたり小さくバランスをとる。
 花ひとつだけというのはいかにも単純な作品になってしまいます。何か別の脇役を配置した方が主役の花が引き立ちます。脇役はあくまで脇役なので、大きさやボケ具合で主役との関係を調整しましょう。

9)花弁の薄い花なら透過光(逆光)でも撮ってみる
 「逆光を利用しよう」でも述べたように、透過光を活かすと趣の異なる作品になります。試してみましょう。

10)背景がうるさく写り込む場合には奥の手を使ってみる
 背景をぼかしきれない場合、B4判サイズ大の色紙でうるさい背景を隠してしまう方法があります。
 下の写真左は藪に咲いているヒルガオですが、後ろの藪の草が写り込んでぼかしきれません。そこで、緑色の色紙を背景との間に差し込んで撮影してみました。こうすれば右のように背景をぼかしたような効果が得られます。

 右のアカツメクサの写真も緑色の色紙を後ろに置いて撮影しています。デジタル一眼のマクロ撮影だと被写界深度が浅いため、花全体にピントを合わすのは難しくなります。撮像素子の小さいコンパクトデジカメを使って色紙背景にすると、花全体が鮮明に写り、背景がフラットなまるで「絵」のような作品を得ることができます。
 色紙の色は被写体により、白、黒、青(空の色)、緑(葉の色)、赤(紅葉の色)、黄(黄葉の色)などを使い分けるとよいでしょう。

11)群生する花の総てにピントを合わすなら
 群生する花を撮る場合は、総てにピントが合っている(パンフォーカス)方がきれいに見えます。これはコンパクトデジカメが有利です。出来る限り広角を使いましょう。レンズ交換式カメラなら広角レンズを使用するのがよいでしょう。明るいなら絞り優先でF11程度に絞り込みます。そしてピントを合わすのは画面で手前1/3の位置にします。
 このようにすれば、人間の目で見るように全体がシャープな風景作品が得られます。

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