昨年2020年9月の悪性リンパ腫寛解を機に夜の天体撮影から昼間の太陽撮影に切り換え、入門用最安機種であるCoronado P.S.T.を10月に購入して使ってきました。そのレビューとしては次の通りです。
①PSTは眼視用ということでしたが、それはカメラ取付や焦点の問題として受け取り、その解決策はあり、自分なりに解決して使ってきました。
②当初目的とした、光球面模様や、プロミネンスの撮影は十分出来ました。しかし、アイピースを使った眼視では当初ただ赤い円が見えるだけで、光球面模様もプロミネンスも確認は出来ませんでした。ただしその後黒点や明るいプロミネンスが出ておれば眼視で見ることはできました。しかし光球面の細かい模様までは無理でした。
③使ってみて初めて気付いた問題点は、太陽全球の光球面を撮影すると明るさやコントラストのムラが大きいことでした。そのままでは太陽写真作品としては耐えないので、Photoshopで覆い焼きや焼き込みツールでの補正が必要で、それをやっても満足いく作品にはなりませんでした。
④Facebookのデジタル天体写真に投稿するのですが、他の方はきれいなグラデーションの全球写真作品を投稿されており、全球写真では恥ずかしいので他の方がやっておられないプロミネンスのタイムラプス動画を主として投稿してきました。
⑤PSTの直焦点で太陽全球を撮影するには4mmの円をカバーするカメラ撮像素子が必要で、5.7mm×4.28mmのQHY5P-ⅡMを購入したのですが、激しい
ニュートンリングが出て、スケアリングアダプタで傾けて解決はしたものの、通常は2度程度で解決するのが、7度も傾けなければ解決できず、その結果何となく左右のピントのズレが気になっています。これはPSTの問題ではなくカメラの問題です。
⑥もう一つカメラの問題で、FireCaptureのオートガイドのST4でQHY5P-ⅡMのドライバーが反応しないということもあります。ASI290MCでは正常に機能します。プロミネンスのタイムラプス動画撮影にはオートガイドが使えるかどうかは大きく影響し、結局1~2時間付きっ切りで撮影しています。ASI290MCを使えば良いかと言えばカラーカメラではコントラストが小さくまた解像度も不足してしまいます。
ネットで検索していると、PSTの情報は多いのですが、自分のブログで継続して作品を投稿している人は最低でも口径60mmの太陽望遠鏡か、PSTエタロンを利用した改造機です。そこで、太陽望遠鏡とそれに合ったカメラをワンステップアップしようと考え出した次第です。
太陽望遠鏡のメーカーはコロナドとラントとデイスターですが、デイスターはちょっと値段が高すぎて駄目。コロナドとラントでは、コロナドは会社が身売りしている状態であるし、ラントはコロナドからスピンアウトした人が作った会社なのでコロナド以上の技術力がありそう。また太陽望遠鏡で重要な役割のエタロンフィルターの技術ではラントは無遮蔽エタロンで、エアーチューニングシステムを使っていることです。ある人のブログでは同じラントの60mmで最初はチルト式を使っていたのが、エアーチューニング式に換えて画像の均一性が非常に良くなったとのこと。そこで、ラントの60mm、エアーチューニング式、ブロッキングフィルター径は12mmにしようと考えました。その後継続して調べていると、ラント社は昨年2020年8月にモジュラーテレスコープとしてHα・CaK・白色光・夜の天体にも使える機種を発売しました。そこで、LUNT社のモジュラーテレスコープLS60MTを最有力候補に挙げました。
モジュラーテレスコープ LS60MTの仕様
鏡筒 有効径60mm (Hα太陽望遠鏡)、有効径70mm (CaK、白色光、天体望遠鏡)、焦点距離420mm、F7、EDダブレット、重量:約3.2kg
メインフィルター 鏡筒内蔵式無遮蔽エタロンフィルター、中心波長656nm、半値幅0.65Å未満
チューニング エアチューニング式
ブロッキングフィルター 有効径 6mmまたは12mm (ダイアゴナルタイプ)
接眼部 デュアルスピード、クレイフォード式
付属品 鏡筒バンド、ハードケース
画像はジズコさんのページより借用
ブロッキングフィルターを6mmにするか12mmにするかの問題ですが、
PSTでは400mmで4mmに結像で5mmのブロッキングフィルターでOK。かなり大きくずらしてもブロッキングフィルターでケラレることはありません。
従来タイプLS60THaでは500mmで5.5mm結像で6mmもOKであった
LS60MTでは420mmで4.2mm結像なので6mmのブロッキングフィルターでもOKの可能性大
LS60MT/B600が税込271,700円、/B1200が税込311,300円で差39,600円は大きい。/B1200のメリットは太陽と同径以上のプロミネンスが出た時にケラレなしで撮れる。あるいはもっと長焦点鏡筒に取り替えることが可能ということであろう。私の場合長焦点鏡筒は持っていないし、長焦点が必要ならバローレンズで対応するので/B1200は必要なさそうな気がする。
アメリカの記事を見ていたところ、ラント社ではLS60MT向けのカメラとしてASI178MMを考えているようです。これだとセンサーサイズが7.4×5mmなので直焦点で太陽全球が余裕で収まる。USB3.0/USB2.0、14bit出力なので性能的には十分。FireCaptureのオートガイドにもASI290mcがOKだったので、同じASIシリーズだとOKのはずです。