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★★ 天体写真で月を撮り続ける理由 ★★
2016年11月08日

 私が本格的に天体写真を始めて実質1年が経ちました。はじめのうちはポータブル赤道儀スカイメモSを使って、一眼レフD90の超望遠レンズ200-500mmやコンパクトデジカメFinePixS1(24-2400mm相当)で、オリオン大星雲やプレアデス星団、プレセペ星団など光害地でも何とか撮れる天体が対象でした。これら天体を対象に撮影しているうちに、月があると月明かりに邪魔されて、星がうまく撮れないとか、少しでも雲があると街明かりで雲が白く輝いて星が見えないとか、風があると機材が揺れてブレてしまうなど撮影条件の整った日が非常に少ないことを実感した次第です。こんな時、月なら地上の昼間と同程度の露光で撮影できるし、雲の合間でも撮れるということで、撮影対象に月も加えた次第です。月があれば月を撮り、新月期には星を撮るというスタイルです。

 月の撮影も加えて始めて気付いたのが、一眼レフD90+超望遠レンズ500mm(750mm相当)で撮った結果よりもコンパクトデジカメFinePixS1の最望遠側(光学+デジタルズーム100倍2400mm相当)で撮った方が鮮明であるということでした。WEBページにアップする程度の月全体像では差はわかりませんが、月面クレーターなどの詳細まで拡大トリミングすると明らかな差が認められました。撮影時にカメラの液晶モニターを拡大した時点では一眼レフの方が細部まで鮮明に見えていたので、この原因追及と解決にも取り組みました。

 原因としては機材ブレということですが、一眼レフのミラーショックについては始めから対策済で、露出ディレイモード(ミラーアップ1秒後にシャッターを切る)を使っても発生すること、惑星撮影では1/10~1/200秒よりも1秒とか1/2秒の方が良いという結果からメカニカルシャッターによるブレと断定。対策として頑丈な赤道儀購入がベストとは分かっていても高価なので後回しとし、木星や土星、火星など惑星撮影にも使える機材として、軽量で高感度なNIKON D5500を購入。またシュミットカセグレン式天体望遠鏡であるセレストロンC5の購入に至りました。これら機材の取り付け方法の改良も含めてようやく一眼レフでコンデジのFinePixS1よりも若干ながら鮮明な画像を得ることができました。しかし、一眼レフD5500では1/800秒以上の高速シャッターという条件付きで、露出はISO感度を上げることで調節する。高ISOで生じたノイズは8枚程度コンポジットすることで解決しなければなりません。月の全体像はこれで何とか満足できるレベルになりましたが、次の段階で月面の拡大写真や惑星となるとまだまだシャッターブレの問題は残りました。

 そこで、絶対にメカニカルな動きが無く、Registaxのような動画で撮影したものを数百枚コンポジットできるカメラとしてUSBカメラを検討しました。惑星撮影用USBカメラは5~10万円もします。同じような性能のWEBカメラなら安いもので1000円台で買えます。改造が必要ですが、ダメ元で購入し、自分で改造してうまく使えました。天体望遠鏡セレストロンC5にWEBカメラWebcamC270を使った撮影で、何とか月面の詳細や惑星が撮影可能になりました。

 最近、当ブログにアップしている月面や惑星写真はセレストロンC5にWebcamC270を付けて動画撮影し、Registax6で処理しているものです。撮る対象により、間に2倍テレプラスを挟んでいます。

 同じ機材で撮影しても、月面や惑星撮影では超高倍率になるため、シーイング(シンチレーション(揺らぎ)の少なさ)の影響をもろに受けることになります。当初は高価な機材を使えば鮮明な月面写真が撮れるものと思い、すばらしく鮮明な月面写真をブログなどにアップしている方の高価な機材をうらやましく思い、「次はもっと口径の大きな天体望遠鏡を買いたいなー」なんて考えていました。ところが、よく考えてみると、大口径の望遠鏡は暗い天体の撮影では有効かもしれませんが、月面や惑星では充分明るいので、決して大口径は必要なく、WEBカメラで撮影できるものであればそれでよいということがわかりました。私が使っているセレストロンC5に間に2倍テレプラスを挟んでWebcamC270を付けた機材でも月面はもちろん、土星でも撮影可能です。これで鮮明度に大きく影響するのが、シーイングと機材を揺らす風の有無なのです。微風や地面が電車や車の走行で振動する影響もありますが、これは頑丈な赤道儀にダンパーを使うことになるでしょうが、これは私の次の課題です。

 鮮明で美しい月面や惑星の写真を撮影するには、シーイングが最高で風が無く、周りの振動も無い時に撮影することです。それにはそんな条件の良い時を見つけることになりますが、シーイングが最高というのは年に2,3回あるか無いかというほど少ないそうです。だから毎日でも、撮れる時には撮り続けるというのが重要になります。

 私が毎日のように同じような月の写真を撮り続けているのはそういうことです。月面の超鮮明な詳細な画像は月探査機「カグヤ」による画像が公開されているので、私ごときが撮る画像は全く学術的な意味もなく世の役に立つものではありません。何のために撮るの?と問われれば、「趣味としての自己満足のため」です。自分の撮影技術を少しでも向上させ、それをブログ(日記)として記録し、これを読み返すことで、失敗を反省し、次の対策を考えるのが目的です。同じような趣味の方がこのブログを見ていただいて多少とも参考にしていただければ幸いです。
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