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★★ ネット社会は無法地帯 ★★ 2006年02月18日

 オフィスや家庭からのインターネットへの高速常時接続と携帯電話からのインターネット接続、そして駅や空港での無線LANによるインターネット接続、ホテル、ネットカフェと、今やインターネットの利用は生活の一部になってきた。人によっては生活必需品となって、これなしでは生きていけないとまで言う人もいる。国境の無い大きな世界が出来上がっているのだ。

 わからない事があれば、何でも調べられる。新聞より早くニュースが読める。買い物は勿論、売る商品があれば、お店も開ける。銀行でお金を動かせるし、証券会社で株の売買もできる。税務署への確定申告書も作れる。学校もある。英語の読み書きができたら、英語圏の人とすぐお友達になってチャットで会話したり、メール交換もできる。やろうと思えばテレビ電話のように相手の映像を見ながら会話もできる。

 考えてみればものすごい世界が出来上がったものである。よくバーチャル(仮想)という言葉が使われるが、これはバーチャルな世界ではなく実世界なのである。買い物をすれば、翌日には品物が届くし、銀行口座の残高は減っているのである。

 インターネットは世界規模の大きな社会である。善良な国民・市民がほとんどで、皆まじめに、有益にこの社会を利用し生活を楽しんでいるのである。ところがどこの社会でも、ある比率で悪事をしてでも稼ごうとか、悪事そのものを楽しもうとする輩がいるものである。ところが、この社会は『自由な社会』としてスタートしたため、またあまりにも急速に発展したために殆ど法の整備が無い。たとえ法律を作っても警察官が居らず取り締まりができていない。

■ただでメールが出せるのをいいことに、毎日何十万、何百万通もの迷惑メールという撒き餌を出してうっかり者を釣りあげては金を奪おうとするものがいる。
■他人の家(パソコン)に忍び込んで(スパイウエア)通帳と印鑑(カード番号とパスワード)を盗み金を奪う者がいる。
■有名百貨店の中に商品の写真だけを広げた店(ネットオークション)を開き、「後で届けるよ」と代金だけを奪ってドロンする者がいる。
■客を装って商品を買い、金を払わず商品を持ち逃げする者がいる。
■ウイルスの突然変異体を作り出しては、ばら撒いて喜ぶ愉快犯がいる。
■時限発火装置を小包(ウイルスメール)に仕掛けて送りつけて放火(データ消去)する者がいる。
■呼び出して本当に殺す殺人者もいる。堂々と殺し屋を商売にする者がおれば、そこに殺しを頼む者がいる。
■自殺を呼びかけ死に追いやるものがいる。
■まじめなサークルの会話に割り込んで邪魔をする者(掲示板荒らし)がいる。
■特定の人を誹謗中傷する者がいる。
■子供に悪影響を与える情報を発信する者がいる。

 こんなに悪者が闊歩しているのに、現状はこれを取り締まる警察官は居ないに等しい。たまに目立った奴が捕まる程度である。我々善良市民は自己防衛として、ファイアウォールに囲まれた頑丈な家に住まい、高い賃金の門番を雇って出入りするものをすべてチェックしなければならないのだ。毎日届くたくさんの郵便物も開く前によく調べて、知らない者からの小包は絶対開かないで焼き捨てる。銀行へ行く時は秘密のトンネルを通る。買い物をする店は事前に下調べをし、信用できる店しか使わない。出掛ける時は防弾チョッキを着て、変な路地に入り込まないように注意し、甘い誘いの看板は無視して歩くのである。しかし、すべての市民がこれだけの防衛をしてくれればよいのだが、1%ほどは無防備でふらつき、悪の餌食にされる市民がいるのだ。これが悪者が減らない理由のひとつである。

 悪者が闊歩しやすいもうひとつの理由は、皆覆面をし、素顔を見せない。たとえ顔が見えることがあってもそれは他人のお面を被っていることが殆どである。

 法律の整備もなっていない。自民党の情報漏えい罪検討プロジェクトチームが2月15日、個人情報保護法改正案の概要をまとめたそうだ。業務上知り得た個人情報を漏らした民間企業の従業員に「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」を科す。公明党と協議し、3月中に議員立法で国会に提出、早期成立を目指す。元の個人情報保護法も改正案も馬鹿げた法律である。まじめな会社が苦労するだけで、個人情報を使って悪いことをする連中は元から法律を無視しているのでこんな法律を守るはずがない。盗まれないようにしろという法律であって盗む泥棒や、盗品を買い取る者、それを使う者は放置しているのである。悪用するものがいなければ盗むものもいなくなるはず。ならば悪用するものを捕まえろ!といいたい。法律も日本だけで厳しくしても、悪者は海外に拠点を持っていたりする。国際法を作らないと意味が無いのだ。

 少ない警察官で取り締まる効率的な方法は、おとり捜査ではないだろうか。おとり捜査が許されているのかどうか知らないが、迷惑メールを取り締まるなら、おとりのメールアドレスを準備して、被害届が出ているような怪しいところに書き込む。そのメールアドレスはたちまち流出して迷惑メールが届くようになる。その迷惑メールに記載されているURLの管理者から調べれば、元が手繰れるのではないか。それで駄目なら、そのURLのサイトで何らかの有料行為があるのでそれを使えば、料金振込先か何かで捕まえられるはずである。犯罪のほとんどは何らかの形で金に結びついている。金の流れを辿れば大元の犯人を捕まえられるはずだ。おとり捜査をやっていることが知れ渡れば、元から絶てるのではなかろうか。

 1日も早く安全快適なネット社会が実現することを望む次第である。

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