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★★ 風力発電は環境にやさしいか? ★★ 2005年11月02日

 風力発電というと自然エネルギーを利用して環境にやさしい発電方式と考えられてきた。だが、いざ、たくさんの風力発電用風車が林立するようになると、思いもよらなかった色んな問題が挙がってきた。風力発電風車は1基2基なら面白いものができたものだと珍しがられて名所になったりしたものであるが、これが林立してしまうと、景観が台無しになる。風通しの良い場所というのは特に目立つのである。これが人の近くで回ると、いくらうまく設計されたと言えども低周波公害が起る。また、最近大きな問題となっているのが、鳥がぶつかるということである。特に鳥の渡りのシーズンでは多くの野鳥が死んでいるとのこと。アメリカでは愛鳥家の猛反発にあって渡りのシーズンは運転を停止せざるを得なくなっているところもあるそうだ。

 風力発電機の風車のようなものは自然界にはありえないもので、渡り鳥の警戒の対象に入っていないのである。オランダの風車のように、布張りの風車がゆっくり回るのなら、鳥も避けられるであろうが、風力発電の風車はドデカイのである。ゆっくり回っているように見えても、先端のスピードはものすごく速く、とても鳥が避けられるものではないのだ。渡り鳥にとっては、いつもの渡りのコースを飛んでいたら突然叩き潰されてしまったというような状況になるのである。渡り鳥というのは風に乗って飛ぶことによりエネルギー消費を節約しながら長距離移動しているのであるが、このコースが風力発電機設置場所と一致してしまうのである。

 我々人間は化石燃料を燃やして空気中の炭酸ガスを増やしてしまった。このため地球温暖化が急激に進行している。大慌てで色んな代替エネルギーを得ようとしてたどり着いたひとつが風力発電であるが、これも完璧なエネルギー源ではなかったということになる。果たして鳥の命や景観を犠牲にしてまで推し進めるべき対策であろうか。関係者の熟考をお願いしたいものである。

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