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★★ 遺伝子は書き換わる ★★ 2005年09月19日

 このコラムは少し掲載が遅れて話題としては古くなってしまったが、千葉市動物公園のレッサーパンダ風太(ふうた)君が人間のように直立するということで人気を呼んだ。この人気にあやかろうと、あちらこちらの動物園で「うちのレッサーパンダも立つよ」と名乗りを上げて人がどっと押し寄せてにわかにレッサーパンダブームが沸き起こった。

 ニュースによれば、この風太君の親も何かのきっかけで立ち上がるようになったらしい。風太君の立ち上がるという行為が親からの遺伝なのか、親の立ち上がるのを見て学習したのかはわからないが、筆者は遺伝であると見ている。遺伝だから生まれつき直立し易い骨格や直立する運動能力が備わっていたのだろう。

 生物の進化については、ダーウィンの『進化論』が基本になっているが、近年これに異議を唱える説が現われている。例えばキリンについて言えば、首が中くらいの長さのキリンの化石が見つかっていないというのがその理由である。そこで、ウイルス進化論というのが出てきて、もっともらしい理論付けがされたりしている。それは、キリンが首の長くなるウイルスに感染し、それが種全体に広まったために突然キリンの首が長くなったのだというのである。生物の進化はまだなぞが多いため、いろんな説が出せるのである。

 それならということで、筆者の説を披露しておく。それはDNAが生物の生活環境に応じて書き換わるのではないかということである。キリンについていえば、高い枝の葉を食べるために、いつも首を伸ばしていると多少首は長くなるものである。そうすると、そのことが生存上有利であるとなると、そのキリンのDNAがそのように書き換えられ、その後生まれる子供のキリンに遺伝として伝わり、少し首の長いキリンが生まれるのである。その子キリンもまた高い枝の葉を食べようといつも首をのばしていると、さらに首が長くなり、それが次の子キリンに遺伝するという風に、おそらく数十世代(数百年〜数千年かも)で今のように首の長いキリンが誕生したのではないだろうか。生物の進化の歴史をみれば数百年は一瞬なので、中くらいの首の長さのキリンの数は少なく化石が見つからないのも説明が付く。

 生物の環境に順応した形や生態は実にすばらしく、とても偶然の突然変異で生まれたとは考えられない。その生物(動物も植物も)がそうなりたいという意志があってそのような形や生態に変わっていったのである。生物の体は使い方次第で発達したり退化したりするものであり、この結果がリアルタイムでDNAに反映されているのである。DNAはROM(Read-Only-Memory)だけではなく、RAM(Random-Access-Memory)の要素をかなり含んでいるのである。DNAが書き換わると言っても体のすべての細胞にあるDNAが書き換わるのではなく、生殖細胞のDNAが書き換わるだけでよいのだ。(この道の学者によればDNAは書き換わらないというのが聖書のように信じられているらしいが)

 これを我々自身、人間に当てはめて考えてみると、例えば自転車に乗るという運動能力であるが、これは体が覚えるという典型的な能力であり且つ人間的能力である。これもDNAにより遺伝しているのではないかと思える。筆者の祖父母は父方母方も自転車に乗っていなかった。父母については母は乗っていたが父が乗っているのは見たことがない。このためか筆者は自転車に乗れるようになるまでかなりの練習を要した。ところが両親が自転車に乗れた筆者の子供は、練習をさせてもいないのに、幼稚園の時にはもう補助輪なしで乗り回していたのである。人間の場合は育った環境や教育などの影響の方が強くて断定しにくい面が多いが、そのように考えると当てはまることが多々ある。日本人の体格は昔と比べてかなり変わったのは事実である。この理由が生後の生活様式と食生活だけによるとは言い切れず、体格を司る遺伝子が変化したとも言えるのではないだろうか。
 人生経験の少ない若い親から生まれた最初の子供とある程度人生経験を経た後に生まれた末っ子とでは生まれつきの何かが違うように思えるのである。知識は遺伝しないが、『知恵』や『運動能力』は遺伝で子孫に伝えられそうである。優秀な子供を産むには夫婦揃って知恵を出したり、運動能力を高めておこう。損はないはずだ。

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