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★★ 小惑星が地球に衝突! ★★ 2005年07月07日

 雲って星は見えないが、今日は七夕なので宇宙のロマンについて、うーん?これはロマンになるか、脅威になるか微妙なところである。

 昨年(2004年6月)発見された小惑星が地球に衝突する可能性があると、ニュースの片隅に挙がっていた。宇宙に興味のある方は覚えておられるかも知れない。

 小惑星は『2004 MN4』と名付けられ、その後も観測が続けられている。発見当時よりも衝突の確率が下がったということで、忘れ去られようとしているようであるが、今後の軌道変化によっては衝突する可能性は残っているのだ。回避対策を今から立ち上げておかないと、衝突するとわかってからでは遅過ぎると元宇宙飛行士が米国議会に提言したそうである。

 この小惑星『2004 MN4』は直径約320メートルであるが、もしも地球に衝突すれば、海であれば、昨年末のスマトラ沖津波の2倍以上の津波が発生するし、陸であれば、870メガトン級爆弾投下と同等の破壊力で周囲まで吹っ飛ぶと推測される。恐竜が絶滅した時ほどではないが、どこに落ちてもかなり大きな被害は出るであろう。

 現在の予測では世界標準時2029年4月13日に地球と月の間を通り抜けるとのこと。地表から約3万7000キロメートル足らずの高さを通過するらしい。衝突の確率は、わずか2万3000分の1で衝突の可能性はないといってよいだろう。日本時間では2029年4月14日6時21分というが、どこまで正確かわからない。24年先で筆者も平均余命の範囲内なので生きているかも知れない。条件が合えば肉眼でも見えるらしい。人工衛星のように星が高速で通過するという天体ショーになるのであろうか。

 問題はこの小惑星『2004 MN4』がその次に地球に接近する時である。2035年には衝突の確率が上がると言われている。それでも1万4000分の1である。しかし、正確な軌道計算ができているわけではなく、2029年の地球接近時に地球の引力の影響をどれくらい受けるのかわからない。この小惑星の正確な質量がわからないと正確な軌道計算もできない。地球の近くを通過する時、地球との距離が僅かでも違えば引力による軌道変化も大きく異なる。それによって衝突するかも知れないし、もっと衝突確率の低い側にずれるかも知れないのだ。だから次回地球接近時にトランスポンダー(送受信機)を送り込んで正確な軌道を測定しようというのだ。

 太陽系創生以来、塵や小惑星の衝突が繰り返されてきたのだ。その結果が、月などにクレータとして残されている。時が経つにつれて、衝突する小惑星は減ってきて、皆安定した軌道に落ち着いてきたのであるが、不安定な軌道にいながら、偶然何にも衝突せずに残った小惑星があったり、何十年、何百年に1度近くを通過する彗星の影響で安定していた軌道からずれて、衝突する可能性のある軌道に入ってしまう小惑星も存在するのである。

 平和でいつまでも変わらないように見える星空であるが、星雲(宇宙)同士の衝突、星同士の衝突、彗星の衝突、惑星の衝突など、案外頻繁に起っているのである。我々は天体ショーとして見て来たが、これがいざ我が地球となると、地球絶滅レベルの重大事になってしまうのである。その地球の中で、戦争とかテロとか領土問題で争っているのがちっぽけな馬鹿らしいことに思えてくる。手をとりあって地球を守ろうではないか。

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