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★★ 日本の人口減少 ★★ 2005年06月13日

 いよいよ来年をピークに日本の人口は減少に向かう。政府や政治家達は「大変だ、大変だ」と大慌てで『少子化対策』とかなんとかをやろうとしている。その少子化対策も効果のある対策をしているならともかく、子供1人あたり何円というような形で養育費を補助したり、税金を控除したりの策であり、その金額も微々たるものである。育児休暇や会社内に育児室を設けるのも悪くはないが、少子化対策にはなっていない。なぜ少子化に向かっているのか根本原因を捉えていないのではないか。決してお金がないから子供を産まないというのではないはずだ。終戦直後はお金も食料も乏しかったのにベビーブームが起り今の団塊の世代が生まれたのではないか。

 地球上の生物は総てが本能として繁殖欲を持っているが、その種の数が一定数を超えると互いに殺し合いをしたり、繁殖欲を失って種の数を調節するようなしくみが備わっているのである。今の日本はまさにこの調節の力が働いているのではないだろうか。凶悪な無差別殺人が増えているのもそのせいかも知れないし、殺し合いを禁止しているので繁殖欲の抑制が働いているのではないか。

 筆者自身のケースを考えてみた。筆者は4人兄弟であった。当時は子供4人というのは平均的な数であり、金持ちでも貧乏人でも4人前後の子供を持ったものである。『貧乏人の子沢山』という言葉があったように決して経済力が子供の数を決めたわけではない。何か子供に将来を託したいというような、子供が多い方が将来に希望が持てるというような気持ちがあったからではないだろうか。そして、筆者自身は2人の子供がいる。なぜ3人目を作らなかったのかというのは、特に意識していたわけではないが、何となく2人くらいが適当かという気持ちがあった。家内は専業主婦だったので育児環境は悪くはなかったはずだ。3人4人と作った場合、子供たちに住む家が確保できるのだろうかとか将来生きていくだけの食料はあるのだろうかというような不安を感じたように思える。まさにこれが少子化に向かっている原因ではないだろうか。過密な人口で将来に希望が持てなければ子供を持とうという気持ちが起きないのであろう。

 来年は日本の人口が減少に転じる記念すべき年になる。人口が自然減少するようなことは人間の歴史上無かったことであり、過去の経験は通用しないのである。これまでの何でも右肩上がりの考え方も転じてすべて右肩下がりに考え方を変えなければならないのだ。人口があるレベルまで低下し、世の中が安定して将来に希望が持てれば、おのずから少子化傾向は無くなり均衡状態に向かうのではないだろうか。今の右肩上がり指向の不安定政治を続ける限り少子化は止まらないだろう。極端な少子化や反動での極端なベビーブームは社会均衡上問題が起るので、まずは軟着陸させるような方策をとるべきであろう。

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