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★★ 談合は必要悪なのか ★★ 2005年05月27日

 鋼橋メーカーが談合の疑いで公正取引委員会から検察庁に告発された。何十年も続いていたというからレインボーブリッジや明石海峡大橋も談合の結果高値で落札された可能性がある。

 財政難から無駄遣いを無くそうと、公共工事の見直しが叫ばれ、『必要悪』として黙認されていた談合も厳しく摘発されるようになり、入札方法も談合をやりにくい方法に改められ、もう談合は無くなったのかと思っていたが、まだ続けられていたのだ。

 今回談合の対象になった鋼鉄製の大きな橋の工事では、限られた大手しか受けられないという特殊性があったので、たとえ一般競争入札(実際どんな入札方式が採られたのか知らないが)でも応札できる企業は限られるのだ。その限られた企業全社が仲間になれば、高値落札も可能であったのだ。

 多数の中小工事業者が受注する数千万円程度の公共工事ではかつては指名競争入札であったため談合が行えたが、これが談合対策で一般競争入札に変わった。このため熾烈な競争が行われ、赤字覚悟の落札が相次ぎ、倒産する工事業者が次々出ている。ある程度弱小工事業者が淘汰されて安定するのであろう。しかし、工事業者の数が減れば鋼橋業界と同様に中小規模公共工事でもまた談合が可能になるのかも知れない。儲けが絡めば必ず何等かの抜け道や摘発回避方法が編み出されるに違いないのである。

 今回の鋼橋談合でもかなり巧妙に、携帯電話を利用するなどして談合隠しが行われていたとのことである。インターネット、暗号化技術、第三世代携帯電話、個人情報保護法でどんどん採用されている高度セキュリティ技術などを使えば、談合をしていても、その事実すら掴めないようにできるのではないだろうか。

 元々天下り社員が活躍し、官民協力し合ってやっていた談合である。発注する官側で絶対阻止する考えが無いので、おそらく入札制度をどう改正しても、それに対応した新しい談合法が考え出されることであろう。今検討されている課徴金の増額程度では、万が一見つかって課徴金を払っても損はないのである。どんなに大きな企業でもグループごと倒産させてしまうとか、かかわった担当者は死刑くらいの罰則をつけないと駄目であろう。かといって、談合にかかわった業界全体を倒産させてしまったら、日本に工事ができる企業が無くなってしまうし、会社のためにやって死刑なんてとんでもないということになる。「赤信号みんなで渡れば恐くない」とはよく言ったものだ。結局公共工事がある限り無くならない『必要悪』である。・・筆者は決して肯定しているのではないが、お手上げである。

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