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★★ 個人情報保護法 ★★ 2005年05月20日

 この4月から個人情報保護法が全面施行され、個人情報を扱う事業者や団体は個人情報の扱いにピリピリしているようである。今朝のニュースでは学校の名簿に住所や電話番号を載せないようにしたとか、卒業アルバムをどうしょうか悩んでいるとか。これまであたり前と思っていたことが、個人情報の流出に繋がるので止めるという例が多いようだ。

 実際、学校の卒業生名簿というのは、電話を使った販売に使われることが多く、筆者にも「○○大学○○年ご卒業の皆様にご紹介しております」というように、卒業生名簿を使っているというのが明らかな売り込み電話がかかってくることも多かった。電話商法の業者が使っているというからには、当然『振込め詐欺』にも使われるのであり、筆者の息子や近所の同窓生に『振込め詐欺』のハガキが届いたりした。だから最近は同窓会名簿などには住所変更や電話番号の変更通知はしないようにしている。そんな人が増えれば、同窓会名簿の価値は無くなり、発行もされなくなるだろう。同窓会事務局にとっては悩ましいことである。改めて考えてみると、連絡をとる必要のあるような親しい友人同士は、年賀状を交換したり、住居移転通知を出したりしているので、名簿で住所を調べるようなことはしない。結局名簿が使われるのは、就職のコネ探しや営業活動のコネ探しで、「この会社に先輩がいるのでお願いしよう」という場合などであって、電話商法に似通ったいわば『不純』な利用の仕方である。だから「同窓会名簿なんか発行するな」と言ってしまうと極論になるのだろうか?

 そもそも個人情報保護法なるものが作られたいきさつは『振込め詐欺』などの個人情報の悪用が著しくなったからである。悪用が増えた要因としては、パソコンの普及、インターネットの普及、大容量記録メディアの普及、携帯電話の普及、そしてもうひとつは既存犯罪の取り締まり強化ではないだろうか。世の中に悪人は必ず居るもので、彼らも生活するために稼ぐのであるが、昔からやってきた悪事の取締りが厳しくなると、どうしても新しい悪事を開発しなければならない。彼らの必死の悪事開発のヒット商品が、個人情報を悪用した『振込め詐欺』だったのだ。悪事の特許はないので馬鹿な悪はすぐ真似るのである。

 個人情報保護法が施行されたからといって、すぐに安全になるとは考えられず、悪人は不法承知でやっているので、おそらくこれまでは合法的に個人情報を集めていたのが、『フィッシング(Phishing)』のような不法な方法で個人情報を集める形に変わるだけであろう。この取締りが厳しくなれば、彼らはまた次の新しい悪事を開発するのである。これも『永遠のいたちごっこ』といえるのではないだろうか。ただ『詐欺』のうちは騙されないよう注意すれば回避できるが、家の鍵を叩き壊して押し入って「マネー!マネー!」とやられたら回避のしようがない。渡す金が無ければ殺される。たとえ不法でも個人情報は正確であって欲しい。筆者のような貧乏人なら正確に貧乏人という個人情報が流れてくれればいくらか安心である。いずれにしても日本の治安は悪くなったものだ。

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