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★★ 技術開発の進歩と標準化のジレンマ ★★ 2005年02月20日

 先日、申し込んでいた日帰りバスツアーに出かけるので、前日の夜に持って行くデジカメなどのバッテリーの充電を行った。デジカメは一眼レフと広角用に使うレンズ一体型と家内が使うコンパクト型、それと、メディアが満杯になった時に写真データを保存する携帯型ハードディスクである。占めて4台の機器に充電するのであるが、充電器が皆異なりそれぞれ専用になっている。これら充電器はテレビの下にある紙箱にしまってあったのだが、ガラガラと放り込んである中、それぞれの専用のを取り出すことになったのである。箱の中には今回充電に使う充電器以外にも髭剃り用やら携帯電話用やらいくつも入っており、それぞれが長い電気コード付きで、お互い絡み合っているのだ。
 バッテリーや充電器はなぜ標準化できないのだろうか。かっては、単1〜単4乾電池というように形が標準化されていたのに、どうしてそれを使わなくなったのだろう。リチウムイオンバッテリーを使うデジカメは同じメーカーでも新製品が出る度にバッテリーや充電器の形や規格が変わっている。単3や単4型バッテリーを使うデジカメはユーザーにとって有難いが小型化を争っている中、容量で不利なため少数派である。携帯電話もバッテリー形状は皆違う。せめて充電器は同じにしてほしいのだが、これも違っており、他人の充電器をチョット借りて充電というのもままならない。
デジカメでは記録メディアの標準化も重大な問題である。コンパクトフラッシュ・SDメモリーカード・メモリースティック・XDピクチャーカードはサイズや容量にあまり差がないので新しい形を作る必要性は無いのにどんどん互換性の無い形を造ってしまい、それしか使えないデジカメを売るものだからユーザーは予備も含めて使いまわしができないメディアを買わされてしまうのである。

 今、次世代DVDの規格をめぐってBlu-rayとHDとの間で熾烈な戦いがなされている。かってのビデオテープの規格でベータとVHSが争ったのと類似の様相である。ビデオテープの時は両方共発売され、しばらくは両規格並存の時期があったが、結局はVHS勝利で1本に統一されたが、この時ベータ機を買った消費者は泣きをみることになったのである。今回も現状ではどちらが勝つか、まだわからない。どちらも機器が発売されている。高価なものであり、また、ソフトを蓄積していくものなので、負け側を買ってしまったら大変なので、慎重にならざるをえない。と、なるとどちらかはっきりするまでは、高品位DVDビデオは買えないことになってしまう。既に地上波テレビでの放送も始まっているのにどうなることやら。

 標準化を意識していると技術開発が進まないというのは昔から言われていることであるが、メーカー業界としてはもっと消費者の立場で標準化を考えてもらいたいものである。一般的には、機器が市場に出回ってからある程度年数が経つと、消費者にとって有利な機種がおのずと決まってきて、それだけが生き残り、それがデファクトスタンダードとなって標準化されるのである。ビデオテープのベータとVHSは採用するソフトの数がこれを決めたのである。バッテリーはどうかというと、単1単2単3単4といったバッテリーは標準化されているが、容量不足ということで、リチウムイオン型が採用されることが多いのだが、どれも機種専用としているため、デファクトスタンダードにもなり得ない。どうやら次の世代の燃料電池が実用化されるまでの繋ぎ的な考え方がなされているのか。燃料電池では是非とも燃料カートリッジぐらいは共通化してもらいたいものである。

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