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★★ 益々金持ち有利の税制 ★★ 2005年02月20日

 政府税制調査会が06年度税制改正に向けた議論を始めた。この中で個人所得課税で低所得者の課税を強化し高所得者の負担を減らす。また法人税率を引き下げ、全体としては税収を増やす。というのが最大の焦点になっている。逃げ口上を準備しているが金持ち優遇の増税税制にしようとしているのは明らかである。

 さらに近い将来には消費税率引き上げは確実という。これも生活必需品を買うのに精一杯の我々低所得者からすれば所得の総てを使ってしまうので所得税の税率アップと同じである。高所得者は所得の一部を消費にまわすだけで残りは利殖にあてるので益々差がつくことになる。

 国は無茶苦茶な借金を積み上げて、その借金の使い道は利権を持った金持ちを太らすものであったのだが、借金返済には増税しかないということであって、その増税策は筆者のような低所得者から見るととても理解できないような方向へ進んでいる。しかし、これらについてあまり知らされないので騒ぐ人も少なく、たとえ知ったとしても、意見を言う場も無ければ、それを受け入れてくれる姿勢も無いのだ。せいぜいこんな数名しか見に来ないホームページに書く程度である。

 そもそも、税制調査会のメンバーは高所得者ばかりであろう。最終的に決定する議員も高所得者である。彼らに対して声が強いのは、政治献金ができる高所得者や、利益を出している企業である。当然ながら、高所得者有利な方向に行ってしまうのである。現在の案通りに決まると、低所得者層にはたちまち生活に影響が出る。税率アップで手取り収入が減るばかりか、消費税アップで物の値段が上がるので、ものが買えなくなり、生活を切り詰めなければならなくなるのだ。

 高所得者や法人の税率ダウンの理由として言われているのが、税率が高いと折角稼いでも殆ど税金でもっていかれるので意欲が減退する。法人の場合、外国との競争力アップのため。と説明している。ほんとにそうだろうか?実際、高額所得者自身が汗水流して働いているわけではなく、指示を出すだけ。中には何もしなくても、その地位についているだけでお金がもらえる人も多い。夜も寝ないで企画したり、物を作ったりしているのは、安い給料で働いている低所得者層なのである。法人も法人税を払っているのは、利益を出している企業であって、競争力のない企業は利益が出ないので法人税を払っていないのだ。だから法人税率を下げても、元々利益の出ていない企業には何の効果もないのだ。

 日本は資本主義国家なのだが、社会主義国家以上の社会主義制度になっているという人がいた。総中流国家だとも言われた。でもこれはすばらしいことではないだろうか。人間に大きな差があるわけではないので、貧富の差が少なく平等であるというのは理想的な社会と言えるだろう。それが、なぜか貧富の差を大きくしようという方向に進みつつある。政治に無関心な人が増えて、少数の金持ちや儲かっている企業の間で政治がなされているように思えてならない。選挙の度に低投票率が更新されている。政治無関心にさせたのが何か、これが根本原因なのだが。我が息子達もとっくの昔に選挙権を持ったにもかかわらず、一度も選挙に行っていないようだ。親が投票に行くように言っても、全く聞く耳を持たない。教育なのか?世の中全体が、政治の良し悪しは選挙で投票に行くかどうかで決まるのだということをもっとアピールすることに尽きるのであろう。

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