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★★ 科学的夢 ★★ 2005年01月08日

 子供っぽい夢であるが、地球の引力を受けないようにできないものだろうか、と子供の頃から考えていた。・・・引力を受けなければ、車のようなもので空が飛べる。宇宙へも簡単に行ける。交通渋滞なんか関係無しで直線距離を通ってどこへでも行ける。どんなに険しい山でも頂上へ一ッ飛びで行ける。・・・「天空の城ラピュタ」の飛行石のように漫画やアニメの世界ではよく扱われてきた。

 何か物理的に可能にする方法はないのだろうかと、何度も考えてみたことがある。その一つに、電気や磁気では引力と斥力が働く。その引力・斥力はお互いの距離の二乗に反比例するという同じ式が当てはまる。万有引力も同じく距離の二乗に反比例するのであるから、電気や磁気と同じようなものであって斥力が働く可能性が考えられるのである。ただ、違いがあって、電気の引力は+と−、斥力は+と+または−と−で働き、磁気も引力はNとS、斥力はNとNまたはSとSで働くのであるが、万有引力は同じもの同士で引力が働くので、斥力の可能性が考えにくいのである。また、例え斥力(反重力)が働く物質があったとしても、お互いに反発するのだから、我々の存在する宇宙からどんどん離れているはずであり、手にすることはおろか、見ることさえできないはずである。我々の宇宙は引力の働く宇宙であるが、果てしない宇宙のどこかには、我々の宇宙との間で斥力の働く宇宙があってもおかしくはない。彼らの宇宙の中では、我々の宇宙と同様にお互い引力が働いているが、別の宇宙とは斥力が働くというのが、論理的な考え方であろう。

 ではどんな物質が反重力として働くのか。実際には存在しないかも知れないし、まだ考え付くこともできないので、思い付く適当なものを挙げておく。私が考えつく物質として、原子核と電子の極性が逆のものがある。普通の原子核は陽子と中性子でできており+の極性で、その周囲を−の極性を持つ電子が回っている。・・と習った。ならば、−極性の原子核の周りを+極性の電子が回るという物質があってもおかしくない。これは『反物質』と呼ばれ、加速器実験で瞬間的にも発生し、その存在が確認されている。物質と反物質がぶつかると膨大なエネルギーを放出して対消滅(ついしょうめつ)するといわれている。そうとすれば、物質と反物質はそう簡単にはぶつかれないはずである。もしも物質と反物質が引力で引き合うとすれば、とっくの昔にすべての物質と反物質が引き合ってエネルギーになって無くなっているはずである。従って、物質と反物質の間には斥力が働くと考えれば、あらゆることに説明が付くのである。斥力が働くからお互いに離れていて安定しているのである。対消滅させるには斥力に対抗できるだけの強い力でぶつけてやる必要があるのではないか。一見、電気的に逆極性の物質同士なので、引き合うかに思えるが、物質は同じ極性で引力が働いていることからすれば、物質と反物質は斥力が働くと考えておかしくはない。

 では、この反物質を手に入れることができるのだろうか。宇宙のどこかに存在するかもしれない反物質の惑星へ行けば手に入れられるかもしれないが、まず不可能である。どこにあるのかも知れないし、光の速さでいっても、何千億年何兆年もかかるであろうから、行って帰ってきた頃には我々の銀河系宇宙にも寿命がきて無くなっているかもしれないのである。ところが地球上で反物質を作る研究がなされており、素粒子レベルでは作れたという報告もある。今のところ反物質の用途として考えられているのは、宇宙旅行の燃料としてである。これにはマイクログラムレベルでも充分といわれている。対消滅すると、微量でも核爆発の何倍ものエネルギーを放出するのである。この反物質を「飛行石」のように航空機に付けて航空機の重力をゼロにし、UFOのような飛行を実現するには、反物質の製造はもとより、安定した貯蔵方法などが開発されない限り無理であろう。間違って1トン近くもの反物質が対消滅すれば、地球そのものが吹っ飛んでしまうのである。
 筆者の初夢はここで覚めた。

 後でネットで検索してみると、同じ考え方をしている人が大勢おられました。夢みる人が多いのは頼もしい。この分野での研究も進むことでしょう。

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