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★★ 忘年会様変わり ★★ 2004年12月25日

 忘年会があった。景気が悪く、ボーナスも少なかった頃は忘年会は自粛して行わないという年が続いた。今年はさほど景気が良くなったわけではないが、いつまでもやらないのは寂しいから、たまにはということである。

 筆者が社会人になったばかりの頃は、高度成長期のはしりで、毎年2桁の率で給料が上がったものであった。もっとも物価も同じ位の率で上昇していたのだが。暮には忘年会、年が明けたら新年会、と飲み会がやたらと多かったように思う。そういえば、こんな歌がありますね。「1月は正月で酒が飲めるぞ・・・2月は豆まきで酒が飲めるぞ・・・3月は雛祭で酒が飲めるぞ・・・4月は花見で酒が飲めるぞ・・・5月は子供の日で酒が飲めるぞ・・・6月は田植えで酒が飲めるぞ・・・7月七夕で酒が飲めるぞ・・・8月は暑いから酒が飲めるぞ・・・9月は台風で酒が飲めるぞ・・・10月は運動会で酒が飲めるぞ・・・11月何にもないけど酒が飲めるぞ・・・12月はドサクサで酒が飲めるぞ・・・」(日本全国酒飲み音頭)ついでだから全部書いちゃいました。まさにこんな感じで何か事があるごと、無くても飲み会をやっていましたね。酒は人間関係の潤滑油と言って、職場全員で、とか上司と部下、同僚同士で飲みに行き、本音を出して話し合うというのも仕事の一部と言われていた。

 ところが、これがかなり様変わりしてきたようである。不景気で忘年会など飲み会自粛がきっかけかもしれないが、とにかく減った。これは筆者だけが誘われなくなったという現象ではなく、回りを見ても飲み会に行く気配が少なくなっている。若い人が飲み会に行きたがらなくなっている。本当に酒好きな者同士で飲みに行くことはあっても、本音を出し合って会社の人間関係を良くして仕事の効率を高めようなんていう気持ちは無い。上司も給料が上がらないのに身銭をきってまで会社のために部下に奢れるものか、ということになっている。

 不景気も一因かも知れないが、どうも日本的経営が変化したのが大きな原因のようである。かっては職場全体でお互いに協力して業績を上げようと努力していたのであるが、最近は個人個人の成果で評価するようになり、同じ職場で同じ仕事をしている者同士でも競争させ、給料や賞与で差が付くように変わってしまったのだ。そうなると、同じ職場の同僚でも仕事を手伝ってあげるとか、役立つ情報を提供したりすると、競争に勝てない。ひどくなると、相手を妨害してでも差を付けようとする者が出てきてもおかしくないのである。経営者によっては、会社における個人の成績はマラソンのようなもので必ず順位が付くものだと言う者が居り、会社としては、成果主義にすることにより、人件費を抑えようとするから、ますますこの傾向が強くなるのである。そもそも、今の成果主義のやり方は会社の将来は犠牲にしてでも人件費を抑えようとする苦肉の策であって経営手法としては間違ったやり方であったのであるが、当面の利益を確保するため、我も我もと採用された制度である。社員の仕事はマラソンのような企業内の個人間競争ではなく、サッカーや野球のように、役割分担し、知恵を出し合ってお互い協力してチームとして、競合企業と競争するものである。

 忘年会など飲み会が活発な状況が会社経営としてもうまくいっているといえそうであり、社内飲み会の無い会社は衰退していくのではないだろうか。やっぱり飲み屋街の活況度合いが景気の指標になるようである。

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