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★★ 「人は右、車は左」 ★★ 2004年12月05日

 自転車に乗っていると、対向の自転車とすれ違う時にぶつかりそうになることが多い。こちらは左に避けようとするのだが、相手も同じ側(相手にとっては右側)に避けようとする。慌てて右側に変えると同時に相手も同じ側に変えようとしてぶつかりそうになって急ブレーキで止まらざるを得ないことになる。過去には何度かぶつかったこともあった。このような事態になる相手の自転車の筆頭は「おばさん」次に「小学生」、「お年寄り」(筆者もそろそろお年寄り)である。だから、最近は当方も要領を得て、相手が「おばさん」で、自分と同じ側で向かってきたらサッさと右側に避けるようにしてぶつかりそうになる事態をかわしている。なぜ「おばさん」かというと、車の運転をしていないので左に避けるルールが身についていないのと、自転車が車両であるという認識がないので、昔からのルール「人は右、車は左」に従って、人と同じく右側を走ってしまうのである。

 さて「人は右、車は左」という標語、コラムニストがネタに困ると取り上げそうな話題だそうだが、最近は「車は左、人は右」と車中心で言われることが多いようだ。というより、「人は右」の部分はもう死語化している。「人は右、車は左」という標語が盛んに使われたのは昭和25年、それまですべてが左側通行であったのを、車と人を分けて対面通行にすることによりお互い相手を認識し易くするためになされたことである。最近は歩道が設置され、人は歩道であれば道路のどちら側を歩いてもよいことになっているので、車対人というより、人対人、自転車対自転車、人対自転車でどちら側を通行すべきかが重要になってきている。

 元々、日本ではすべてが左側通行であった。左側通行になった元は、武士の刀がぶつからないように決まったようである。それと、心臓が左側にあるので、これをかばうため、人はすれ違う時左側に避けるのが自然になっている。だから歩行者天国などでは、どちら側を歩くか決めてなくても自然に左側通行になるのである。人間は右利きが多く、心臓が左にあることで決まる自然現象といえる。だからスーパーの通路設計も左側通行で左側の陳列台の商品を選ぶように設計される。陸上競技のトラックも左回りになっている。

 このようなわけで、歩行者だけの場所では左側通行が多くなっており、「人は右」とは言わない方がよいと言える。そうとなれば、「すれ違いはいつも左へ」がデファクトスタンダードのルールであるといえる。だから自転車のおばさん、左側通行を守りましょう。そして、とっさの時も左側へ避けてください。

 ちなみに、アメリカなどで、なぜ車が右側通行になったのかというと、元々馬車は左側通行していたらしいが、初期の車はチェンジレバー操作が大変だったので右手で操作できるよう左ハンドルにした。左ハンドルなら右側通行の方が都合がよいから。ということのようだ。ではイギリスではなぜ日本と同じ左側通行かといえば、馬車の時代に左側通行でルールが固まってしまっていたので、そのまま車にも適用された。その他の国はアメリカやイギリスの影響で、ということになるらしい。

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