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★★ 紅葉の季節 ★★ 2004年10月09日

 秋の自然と言えば、何と言っても「紅葉」である。

 10月初めに青森出張になった。仕事の翌日が日曜日、時季も良く、個人では滅多に行けない遠方なので、月曜日を土曜日分の振り休にして八甲田山や八幡平の一足早い山の紅葉を楽しんできた。

 筆者は元々あまり紅葉に関心は無かった。紅葉は木の葉が寒さにより散り落ちる断末魔の足掻きではないのか、むしろ新緑の方が生命の息吹きがあって良いではないかと思っていた。
 ところが、家内は紅葉が好きで、秋になるとあっちこっち紅葉狩りに行きたがり、それに付き合ってきて、「今年の色づきはいい」とか「ちょうど見頃で良かった」とか「紅葉狩りにはちょっと早かった」とか「遅かった」とか、いろいろ薀蓄を聞く内に、山や木の色合いから見ればきれいなものだと思うようになった。

 写真を撮るとなると、少しでもきれいな紅葉を撮りたいと欲も出て、見頃情報を調べたり、どんな場所がきれいかを調べたりするようになってしまったのである。

 そもそも紅葉というのは、気温が7〜8℃以下になると、葉の付け根部分にコルク質の膜が出来て水や養分の通過が遮断されるため、葉緑素が分解して無くなっていくことにより起る現象である。黄色くなるのは、元々存在した黄色色素カロチノイドなどが残るため黄色く見えるのである。また、赤くなるのは水や養分が遮断されることにより葉緑素が作り出した糖分が日光が当たることにより赤い色素アントシアンに変化するためである。
 この場合に、日当たりや温度変化、湿度の条件により、葉緑素の分解度合いや色素の出来具合が異なるために場所やその年の天候によって色づき度合いが異なるのである。一般的には一気に気温が低下し、谷間や盆地であって、湿度が高く日当たりの良い場所が最も色づき易いと言える。
 常緑樹以外はすべて紅葉する可能性はあるのであるが、樹種により、色や色の濃さに差はある。木だけでなく、草も紅葉する。山の湿原の草紅葉がそうである。山では一気に気温が低下するし、湿原は盆地状の地形で、水分も豊富、日当たりも良いので紅葉し易いのである。2002年の秋は条件が良かったため、我々の住んでいる平地でもススキなどの草の葉が濃い赤みを帯びた色に紅葉し、草紅葉が見られた。
日本の紅葉前線は9月に北海道の山から始まり、10月の山々、11月から12月の平地へと移っていき、1ヶ所の見頃は約1週間ちょっとで、花の見頃と逆に移動する。

 花は近くから見てもきれいが、紅葉は風景全体で彩りを楽しむ方が良い。紅葉の葉を近くで見ると、枯れた部分が混ざっていてあまりきれいなものではない。赤や黄の葉のアップ写真を撮ることも多いが、枯れ部分や傷の無い完璧な紅葉の葉を見つけるのは大変である。さて、今年の紅葉はどうでしょうか。

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