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★★ 環境税 ★★ 2004年9月25日

 緑地保全の目的税として、埼玉県が独自に「環境税」の導入を目指していることが8月26日、明らかにされた。
 県民1人当たり300〜500円程度を県民税とは別に個人に課税する方針で、県は9億―15億円程度の税収を見込んでおり、2006年度より実施の方向で具体的検討に入る。
 埼玉県は、秩父地方など森林保全の課題を抱えるが、財政難で環境保全に大きな資金を投入できないのが現状。しかし、国と地方の税財政を見直す3位一体改革で今後、国からの補助金が期待できず、法定外目的税制度を活用して県民に負担を求めることとした。
 森林保全を目的とした税金は、高知、岡山両県が既に導入。鳥取、鹿児島県などでも来年4月から実施する。

 企業は不景気で利益が減れば、経費節約したり、社員の給料を下げたり、リストラするし、我々県民は給料が減れば、節約したり、食べたいものも我慢、買いたいものも我慢して支出を減らして耐えるしかないのに、国や自治体は財政難になると、節約は口先だけで、即借金で間に合わせ、利息を合わせたツケを増税として国民、県民、市民に課してきている。
 今回の「環境税」は、本当に適切に使われて、自然環境が良くなり、我々自然を愛する者にとって良い環境が維持されるのであれば、これくらいの増税は仕方がないかな、という気にもなるが、過去からの税金の使われ方を見ていると首を傾げたくなることも多いのである。

 自然保護という看板のもとで、特定の土木工事業者保護のために、自然破壊工事が次々行われるというようなことがある。例えば森林保全のためと称して林道を建設、砂防ダムを建設、森林公園と称して遊園地的な施設を建設、これらの工事は皆、実質自然破壊しているのである。山村の生業が農業や林業でなく、土木工事というようなことになってしまった所もあるらしい。とにかく何かの土木工事を続けないと、山村の生活が成り立たない形が出来上がってしまい、自然破壊であろうがなかろうが、構わずあっちこっちにトンネルを掘り、道路を造り、コンクリートで固める工事が延々と続けられる。

 本当に自然保全、森林保全をやるなら、林道を造って杉や檜の植林をするのでなく、広葉樹の自然林で、地元の人々が大昔の生活体系に戻って、炭焼きやキノコ・山菜採り、狩猟といった自然と一体になった生活ができるような環境にするのに「環境税」を使うべきではないだろうか。大昔に戻るといっても大昔と同じにせよと言うのではない。広葉樹林の間引き伐採には近代的な機器を使えば良いし、道路ではない山道を移動できるロボットのような移動用乗物を開発して使うなど。山肌を削るような林道建設は止めて、杭を打ち込むだけにして、山肌から浮いた位置に歩道や、移動機器用のレールを造るなど、現代の科学技術と知恵を使えば自然破壊しないやり方はいくらでも考えられるだろう。
 本当に自然保全に使われるのであれば、「環境税」やむなしである。くれぐれも上述のような自然破壊工事に使わないよう願う。

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