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★★ 有料化でゴミ減るわけないよね ★★ 2004年7月6日

 『一向に減らない家庭ごみ対策として、環境省は、自治体によるごみ処理について全面的に有料化を目指す方針を固めた。すでに一部の自治体で実施しているが、ごみ処理の考え方を示す「基本方針」に、手数料徴収を原則とすることを盛り込み、市町村に導入を促す。現状では国の減量化目標の達成が難しいうえ、最終処分場が10年余後に逼迫(ひっぱく)することが背景にある。しかし、住民の負担増につながる面もあり、反発も予想される。』(2004年05月31日朝日新聞朝刊の記事)

 果たして家庭ごみ減量化対策として有料化というのは有効なのでしょうか?これを考えた環境省のお役人さんは家庭ごみの中身を見たことがないのでしょうね。私は台所仕事もすれば、掃除もする(させられる)ので、家庭ごみの内容はよーく把握しているし、ごみ出しは嫌なのでなるべくごみを作りたくない。でも大量にごみは出てしまう。ごみの中身は何かというと、一番多いのは、包装のプラスチックや紙、ついでビンや缶などの容器、そして野菜くずや、茶殻、魚の骨などの生ゴミである。我が家は貧しいので、キャベツの外側の緑色の葉も食べるし、ネギの緑色の部分も捨てたりしません。食べ残しなんてとんでもない。こんな家庭ごみを有料になるからといって減らせるでしょうか? 強いて家庭の努力で減らそうとすれば、物を買わない事しかできないですね。元々消費者向けというより、物流や店舗での陳列のし易さが主目的の包装まで消費者が金を払って買わされているのである。不要なものを買わされ、それを捨てるのにまた金を払わされるのはどう考えても納得いかないではないですか。
 ごみを減らしたいなら、元を断たなければ駄目で、物の包装を規制するべきでしょうね。それよりも有料化で最も懸念されるのは、『負担を嫌った不法投棄が増加する』ことでしょう。どこへ行っても『ごみは持ち帰りましょう』となっており、結局は家庭ごみとして出さざるを得ない。これが有料になれば、わざわざ家まで持ち帰ってお金を払うよりは『あたり構わず捨てる』人が増えるのは当然です。そうすれば、環境は悪化するし、不法投棄されたごみの処理には家庭ごみの処理費用の何倍もの費用がかかってしまう。・・・と、いう結末は誰でも想像できます。

 私の子供の頃は、自治体によるごみの収集なんて無かった。ごみは自宅庭の片隅のゴミ捨て場(はきだめ)に捨てた。ゴミの中身は紙くずとか生ゴミなので、時々火を付けて燃やす。灰と生ゴミの分解物は畑に入れれば最高の肥料になった。焼け残った鉄屑などは、くず屋さんが買ってくれたものである。プラスチックなんて無かったのでダイオキシン発生の心配は不要だった。大昔のやり方が究極のごみ処理方法ではないでしょうか。昔は下肥(うんち)も買ってくれたのだから、肥料化できるようなごみなら、民間が収集しても成り立つはず。ならば、包装など家庭ゴミになる可能性のあるものに、ダイオキシンなど有害物発生の可能性のあるものを一切使ってはならないという法律を作るのが環境省の仕事ではないでしょうか。家庭焼却炉を使用禁止にする前に有害物発生源になる物質を製造禁止にしなかったのはなぜか? 家庭ごみを有料化したら、環境悪化省になってしまいますよ。金を取りたいなら、プラスチックメーカーから取ってちょうだい。

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