戻る コラム一覧 山写真紀行

★★ 親切な人も多いですね ★★ 2004年5月20日

 私は通勤に自転車を使っている。朝夕各30分強、1日1時間以上自転車に乗っている。これは運動不足解消のため10年以上も続けている。これだけ続けていると、エピソードも生まれるものである。

 朝の出勤時にすれ違った自転車のおばさんが「#$ЭがФб¢%☆!」と何か叫んだ。「ん!???な、なんだろう・・」と、少し先へ行くとまた別のおばさんがすれ違う際に「電気が☆▽◎∴!」と教えてくれた。そうか自転車のライトがつきっ放しになっていたのだ。今使っている自転車は自動点灯式である。帰りはいつも暗くなるので普通の「ビービービー」というタイヤ発電式のライトでは重くていやなので、数年前から自動点灯式の自転車にしていた。それが、ここのところ光センサーの回路が故障して暗くなってもライトが点灯しなくなってしまった。無灯火の自転車に「このやろー!あぶねーじゃねえか!」と心の中で怒鳴っている手前、自分が無灯火で走るわけにいかない。取り敢えずセンサー回路をバイパスして常時点灯にしたのである。発電機が前輪の軸部にあり、点灯しても殆ど負荷を感じないし、最近はバイクは皆昼間も点灯している。自転車も昼間点灯していてもおかしくはない・・と。

 「ライトがついているよ!」と教えてくれるのは、「ビービービー」時代の感覚から、漕ぐのが重いだろう、消しておいた方がいいよ。という親切心であるので、「余計なお節介だ」と言う訳にはいかない。「ありがとう」と会釈して通り過ぎる。消したくても消せないんだよ〜。

 同じおばさんが2回目、翌日にも教えてくれた。3回目は「電気がついてて重いでしょう」と・・、自転車同士のすれ違いは一瞬なので、「こうこうしかじか・・・だからつきっ放しにしてます」と説明する時間がない。さすがに4回目はそっぽを向いていた。交差点の緑のおじさんも教えてくれた。信号待ちだったので「壊れてつきっ放しになってるんですよ」と説明し、納得してもらった。さきのおばさんには、なにか親切心を無視したようで申し訳ない気がするが、今では「ライトつけっ放しの変人爺」と認識されたと思う。その後もちょくちょく「ライトついてますよ」と言われる。親切心を無にしないように『安全の為ライトを点灯しています』と大きな看板を付けるべきなのかな。

 前に自転車のチェーンが切れたことがあった。上り坂で尻を上げて思いっきり力を入れて漕いだ瞬間、スコンッと、気が付いたら倒れていた。何があったのかと辺りを見回すと、チェーンが5mほど後ろに落ちていた。「あっ!チェーンが切れたんだ!」と判った。勢いで切れたチェーンが後ろに吹っ飛んでいた。右足にかすり傷もあった。とにかく家までまだ7km以上もある場所なので、応急的にも直せないかと、いじくっていたら、通りかかった自転車の若者が「どうしました?」と聞いてくれた。格好や乗っている自転車から本格的な自転車愛好家のようだ。自分の持っている工具で何とかならないかと、試してくれた。どうにも直しようがなかったので、一番近い自転車屋の場所まで教えてくれた。「ありがとう」と礼を言って別れたが、この日は自転車は道路脇に置いて、一旦電車で家に帰り、後でワゴン車で取りに行った。

 それにしても、この世知辛い世の中とはいえ、親切な人もまだまだ多いものだと再認識させられた。他人が同じように困っているのを見かけたら手助けしなければと思う次第である。ただし、「ライトがついてるよ」とは言わないことにしよう。

BACK