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★★ 社会保険庁は「御上」 ★★ 2004年5月12日

 国会は今、年金問題で紛糾している。年金制度改革案を審議するにあたり、国会議員や閣僚に国民年金未納入者がいたとか、一時期未納入であったとか、江角さんの未納入騒ぎに始まり、ついに福田官房長官辞任、民主党菅代表辞任など大物辞任まで進展してきた。

 年金未納入の槍玉に挙げられた当人も言っているように、これは今の制度の欠陥であり、誰でもこの欠陥にはまる可能性を抱えている。また、国民年金未納入の人が4割以上もいることが報道されているのである。「俺は年金はいらない」と非加入のままの人も居れば、加入しているつもりでも保険金を納入していなかった人もいる。非加入なら当然納入通知も来ない。これは未納入や非加入を非難する前に、なぜ制度の欠陥を早急に改善することを考えないのだろう。「加入と納付は義務」と法律で決めたのなら、税金と同様に徴収するべきなのに、徴収していない。今の年金制度改革案に組み込まれているのだろうか。案の説明では保険料アップと給付ダウンしか聞いていない。

 そもそも今の年金制度は社会保険庁の「やってやっているんだ」というお上的考えの基に組まれた制度としかいえない。無茶苦茶複雑にし、「年金が貰いたいなら、自分で手続きをしろ。手続きがちょっとでも間違っていたらやらないよ」という感じである。高校や大学を卒業して定年まで同じ会社のサラリーマンで終わるなら問題はないかも知れないが、途中で会社を変えることもあるし、リストラで一時無職になることもあるし、結婚や出産で会社を辞め、また再就職ということもある。これらの変化があった場合、もともと加入していた厚生年金などを脱退し、国民年金に加入したり、結婚なら3号被保険者に替えるなどの手続きが必要になる。これら手続きは厚生年金脱退時に自動的になされて当然と思えるのだが、自分で手続きをやりなさいということであるが、その案内すら無いようだ。私自身は途中で職を替えることもなかったが、家内が制度変更で1号被保険者(国民年金)から3号被保険者(サラリーマンの妻で専業主婦)に替わったのであるが、社会保険事務所からは何の通知も無かった。手続きは私の勤め先の会社がしっかりやってくれたので、良かったが、3号被保険者に切り替わっていない人が多いということが問題になった時期があったが、なぜそのような人に通知してあげないのだろうか。家内もどうなっているか心配で、聞きに行ってようやく確認ができた次第である。

 私もそろそろ年金を受給する年になるので、どうなのか注意するようにしているが、何もしないでいると、年金をもらえないままになってしまう。自分から難しい申告書を記入して裁定請求をしないといけないらしい。複雑でわからないので社会保険事務所の相談員に相談しながら書類を作ることになるのだが、これが混みあって数時間待ちになるらしい。該当者にきちんと判りやすい案内書を送って手続きを促すようなことができないのだろうか。郵便代が高くつくかも知れないが、社会保険庁の無駄遣いの損失と比べたら微々たるものにすぎないのだが。

 年金制度改革案が衆議院を通過して参議院にまわされ、保険料アップと給付ダウンがほぼ確実になった。こんな大きな改悪をするのだから、続いて審議される制度の一本化など判り易い制度への改正と共に、是非とも親切な制度への改正をやってもらいたいものである。一本化されれば制度を作る人本人(公務員)にも影響することなので、易しく親切な手続きに変わることと期待している。

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