戻る コラム一覧 山写真紀行

★★ 戦争を起こす遺伝子 ★★ 2004年4月28日

 『いつの時代も、世界のどこかで必ずといっていい程戦争をしているものだ』

 これは、私が小学生の頃、父から聞いた言葉で、なぜかずーと耳に残っているのである。

 実際、私が生まれてこの方、60年の間、世界のどこにも戦争も内紛も無い時期はなかった。今現在もイラク戦争は終わっていないし、パレスチナ・イスラエルの和平は実現していない。あちらこちらから内戦のニュースが伝えられてくる。

 人類は太古の昔から、争いを繰り返してきた。人類の歴史は戦争の歴史そのものである。文明が進歩し、人間の頭も良くなり、「戦争は愚かな行為である」ということが判ってきたはずであるのに、最も科学の先端を歩んで賢いはずのアメリカでさえ、先頭を切って戦争をしているのである。私が冒頭の話を聞いた時、戦争にかける莫大な金や労力があれば、それを相手国の支援に提供してやれば、戦争の原因を解消することが可能ではないかと子供ながらも考えたりした。今考えてもその通りだと思える。

 なぜ、戦争をしなければならないのだろうか?

 地球上に人類が増え過ぎたからだろうか、それならまだ人類が少なかった太古の昔に戦争が無かったかというとそうではなかった。

 人間の欲望、特に権力への欲望がそうしているのであろうか。独裁国家が武力で権力を維持しているのはこれに当てはまるかも知れない。

 宗教の違いによるのだろうか。そもそも宗教というのは平和や心の安らぎを与えるものであり、宗教が戦争を助長するようなことがあるはずはない。

 生物すべてに与えられた遺伝子に戦争遺伝子なるものが組み込まれているのであろうか。増え過ぎないように、適度に争いをして数を調整するようになっているのかも知れない。「ヒトゲノム計画」で人間の遺伝子の全塩基配列は解読されてきた。これからはその配列の役割が解読されるようになるだろう。そうすれば、「争いを起こす遺伝子」も解明されるかもしれない。もし、そうなら、人類は遺伝子さえ操作できるようになってきたのであるから、争いをするというような危険な遺伝子は無くす方向へ切り替えることも可能ではないだろうか。

 日本では戦争が無くても、人口増加は頭を打ち、今後減少に転じようとしている。これも自然の摂理として遺伝子が為す現象かもしれない。

 クローン人間を造るより先に、平和に向けた遺伝子操作の研究を是非やってもらいたいものである。大統領や首相に立候補する前に、「私は遺伝子治療を済ませました」・・・とはいかないのかな。

BACK