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★★ 年金が心配だなー ★★ 2004年3月12日

 私は今年『めでたく?』還暦を迎えることになる。本来、素直に『めでたく』還暦を祝いたいところである。昔ならよくぞここまで生き永らえた、と心から喜び、余生を孫子とゆったり過ごす転機となるはずであった。『めでたく?』とが付くのは、ほんとにめでたいの?いやーこれからが大変かなーというのが本心であるからである。

 60歳は定年退職を迎える歳である。ということは、稼ぎが無くなるのである。3年早く生まれておれば、定年退職から充分な年金がもらえて、悠々自適で趣味を楽しんだり、旅行をしたりとできたのであるが、2001年から段階的に給付開始年齢が引き上げられ(厚生年金なら報酬比例部分は60歳からもらえる)、最終的には65歳にならないともらえなくなる。私の場合は62歳からである。と、いうことは2年間は報酬比例部分だけで生活しなければならないのだ。今の勤め先はケチで貧乏会社(バブル期までは優良企業だったけど)なので、退職金はめちゃくちゃ少なく年収1年分ちょっとしかない。これまでと同じ生活をしていたら2年は持たない。余談だが、先に同じ勤め先を定年退職した某氏が退職金を銀行に預けた時、銀行員との会話の中で、これが退職金全部だと話したら「うそー」と言われた。という。銀行員も失礼な奴だが、驚かれる程少ないのも情けない。政府は65歳まで働ける制度作りを企業に働きかけているが、強いものではないので、儲かっている企業なら定年延長制度も制定できるだろうが、リストラしてあえいでいる大方の企業ではそんな制度は作れない。いずれ定年延長になるであろうが、あと5〜6年はかかりそうである。結局、2003年〜2007年に定年を迎える我々世代から団塊の世代が厳しい状態に置かれることになるのである。

 年金制度改革が騒がれているが、どんどん先送りされてきて、もはや手遅れ状態である。心配なため、自分の加入している年金がどんなしくみか調べてみた。現在はすごく複雑なしくみになっており、自分でいくらもらえるかは全くわからないのである。とりあえず、サラリーマンである自分が対象である厚生年金は次のようになっていることがわかった。
 1.基礎年金=厚生年金も国民年金も共済年金も含めた共通の部分(40年満額で797,000円/年)
 2.厚生年金=サラリーマンを対象とし、報酬比例して給付される部分
 3.厚生年金基金=サラリーマンが勤める企業単独または企業グループで設けた上乗せ部分
 我々夫婦共65歳以上になると、私には1+2+3、妻は専業主婦であったので1だけが給付される。60〜65歳の間は暫定的な制度が適用され、収入が少しでもあると減額されたり、生まれた年により特別支給の老齢基礎年金があるなど複雑な制度になっている。詳しくは、社会保険庁のオフィシャル年金ホームページなどで調べるとよい。

 ここで、2.の部分は平均報酬月額が計算の基礎になるが、これは社会保険事務所に聞かないとわからない。厚生年金基金が代行している場合は厚生年金基金の方に聞くことになる。若い頃の給与に対しては給与水準の違いが修正されているので複雑な計算になる。3.の厚生年金基金はバブル崩壊以降の運用の悪化で次々破綻したり、解散したり、給付を減らして切り抜けようとしたりしており、年金基金からの給付(上乗せ分)はゼロになったり、極端に減額されたりしている。私の勤め先の加入している厚生年金基金も給付が従来の1/10程に減額されてしまった。破綻してゼロになるよりはましだということで、会員の2/3以上が認めてしまったのである。

 先日、年金給付見込み額を照会したら、今の給与手取り額(税金や社会保険料を引いた額)の44%程であった。現在は現役世代の平均手取り年収の59%と言われているが、これはあくまで平均に対するものであり、新入社員など若い時の給与も平均に加わっているので、定年間際の給与と比べると50%にも満たないのである。現段階では、何とか今の大卒の初任給程度は年金でいただけそうなことが判った。慎ましく暮らせば、老後は飢え死にだけはせずにやっていけそうである。しかし、数年前には、3.の上乗せ部分がそこそこあったので、定年になったら、あっちこっち旅行などして楽しく過ごしたいと考えて、定年を楽しみにしていたのに、そんな楽しみ部分がそっくりもぎ取られてしまったという感じがしている。さらに、現在国会に提出されている年金改革案では、給付水準を現役世代の平均手取り年収の50%まで引き下げるらしい。また、年金の財源を理由に2007年以降に消費税が3%程度アップすることがほぼ確実になってきており、不安が増すばかりである。定年が楽しみでなく、怖くなってきた。

 我々の納めた保険料を運用と称して湯水のように無駄遣いし、膨大な損失を積み上げた役人さん達はどうなるのでしょう。まったく責任をとることなく、莫大な退職金をもらい、数年は無駄遣いで作った所に天下りして、そこでも高い給与と退職金をもらった後、破綻のない共済年金で悠々と老後を暮らすのでしょうか。何か遣る瀬無い気持ちになってしまいました。

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