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★★ 燃料電池への期待 ★★ 2004年2月6日

 燃料電池自動車の登場で、燃料電池が一躍脚光を浴び、期待が高まってきた。何よりも、クリーンで発電効率が高いというのがうれしい。
 数百KWという大きいものから、携帯電話やパソコンに使う小さいものまで研究されているが、どれも現時点では試作機レベルで、価格も高く、普及機には至っていないが、あと1〜2年で実用レベルに達するであろうと、既に時間の問題になってきた。資源エネルギー庁長官の諮問機関である「燃料電池実用化戦略研究会」では、2005年頃を導入段階、2010年頃を普及段階(燃料電池自動車約50万台、定置用燃料電池約210万kW)そして、2020年は、導入目標(燃料電池自動車約500万台、定置用燃料電池約1000万kW)の実現時期と位置づけている。

 現在開発が進められている燃料電池のタイプには次のものがあり、大きさや用途により使い分けられるといわれている。

タイプ 効率 用途
高温形 固体酸化物型 55〜70% 中規模発電所
溶融炭酸塩型 50〜65% 大規模発電所
低温形 リン酸型 35〜40% 分散型発電
固体高分子型 30〜40% 家庭用、自動車、可搬型

 私は趣味でデジカメを使っているが、デジカメはレンズの付いたコンピューターであって、大量の画像データを高速処理するため、大量の電力を必要とするのである。どんなデジカメでも、電源とモニターを付けっ放しにして使ったらおそらく30〜60分が限度であろう。こまめに電源を切って使ってやっと半日(3〜4時間)使える程度なので、予備電池は不可欠である。こんな時、早く燃料電池デジカメが出ないかなと切実に思うのである。携帯タイプの燃料電池だと、おそらく燃料にメタノールを使うであろうから、残量がはっきり判り、減ってくれば足したり、カートリッジを交換すればよいことになる。それよりも、従来の充電式電池と比べて、同一重量で数倍の容量になるので、満タンで出掛ければ、1日充分に持つことでしょう。もちろんデジカメだけではなく、あらゆる携帯式機器で電池の悩みが解消することになる。また、従来は必ずコンセントに接続していた家電製品も、電気ポットのような移動させたりテーブルの上で使うようなものはコンセントフリーになるかも知れない。

 燃料電池に最も期待することは、あの送電線や、醜く蜘蛛の巣のように景観を害している電柱や電線が無くなることである。工場用、家庭用の大型、中型の燃料電池も開発されているが、これらが普及すれば、送電線は不要になるであろう。燃料として都市ガスが使われたり、水素ガスが使われることになるであろうから、これらは当然地中のパイプで供給されるようになる。送電線というのは、かなり送電ロスがあるらしい。山奥の水力発電所や、風力発電所で発電された電力は、現地で水を電気分解して水素を作り、送電線に代わって水素のパイプラインで送ったり、水素吸蔵物としてトラックで運んだりされ、工場や家庭といった電力の消費地で再び電気に変えられる形になるであろう。また、電気が水素の形で備蓄が効くようになるというのもすばらしい。発電所が燃料電池を使うようになれば、燃料効率は廃熱利用も含めて80%程度になるであろうとみられている。また、燃料として、石油や天然ガスだけでなく、可燃ゴミも使えるので、発電所がゴミ処理場にもなる。おまけに、廃熱利用の給湯も可能となる。都市中に中小規模の発電所を分散設置できるからである。

 燃料電池自動車が普及すればどうなるであろうか。まず、空気はきれいになるだろう。地球温暖化の元凶の炭酸ガス排出も少なくなる。燃料の元が石油なら、これに含まれるカーボンはどうしてもCO2になってしまうが、集中して燃料変換処理されれば、固定化して、深海に沈めるなどの処理もできるかもしれない。エンジン音が無くなるので、道路もかなり静かになるだろう。個人的には、花粉症が無くなって欲しいところである。花粉症の原因も排気ガスではないかと言われている。これが無くなれば、たとえ花粉は存在しても、花粉症が発症しなくなるかも知れない。燃料効率もガソリンエンジンの15%が40%程度になる。燃料の水素を石油を改質して作ったとしても、資源消費量は現在の半分以下になるので、石油資源の寿命も延びることでしょう。

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