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★★ 自然からの報復かも ★★ 2004年1月30日

 昨年の新型肺炎(SARS)の大騒ぎが収まりきらない内に、鳥インフルエンザで大騒ぎをしている。考えてみれば、人や家畜の病気は、ここ数年次から次へと新種の病気が出てきている。エイズ(HIV)、エボラ出血熱、西ナイル熱、狂牛病(BSE)、そして鳥インフルエンザ等である。狂牛病はよく解っていないが、その他はどれも野生生物からの感染だといわれている。それは、開発がどんどん進み、人間が奥地の野生生物と接触するようになったためのようである。それが、飛行機による短時間・大量輸送(人・物)によって急速に広まってしまうのである。おそらく昔にも、野生動物と接触して、そんな病気になる人がいたのかも知れないが、その人や動物が移動しなければ、その局地だけで終わっていたのであろう。

 宇宙開発によって、宇宙から未知の細菌やウイルスが侵入することを恐れて、宇宙からの帰還において慎重な検査がなされるそうであるが、地球内でもまだまだ人類未踏の地もあるであろう。ところが、これらの地へは、何の規制もなく入り込み、野生生物を捕まえてきて売る、などの行為がなされている。未踏の地には未知の細菌やウイルスもいて当然なのである。

 狂牛病に至っては、まことに奇怪な病気で恐ろしい。細菌でもなく、ウイルスでもない、単なるタンパク質が原因で病気になるのである。それも、病原体は生物ではないので、煮たり焼いたり程度の熱をかけても無意味で、熱分解してガスと灰にしてしまわないと駄目なのである。その異常プリオンと呼ばれるタンパク質が存在すると、体内で同様の異常プリオンを増やしてしまうという、まるでウイルスのような作用をするのである。異常プリオンが発生した原因が解っていないし、治療法もない。人間で食人の習慣のある人に類似のクロイツフェルト・ヤコブ病という病気の発生例があることから、牛に肉骨粉を与えるという、所謂共食いをさせたためだ、という説も出ている。自然の摂理から外れたことをすると、突然変異が起り易くなるのも当然かも知れない。

 科学の発達はすばらしいものがある。私は新し物好きで新しい機器が出るとすぐに欲しがるのであるが、一方で自然が大好きで、自然は自然のままにしておきたいと願っている。科学が発達すればするほど、自然を大切にすべきであろう。科学が自然に手を加えたりすると何等かの報復があるのではないだろうか。上述の病気もその通りであるし、熱帯雨林を開発で減らしてしまうと、地球温暖化が加速する。食べ物もしかり、例えば、食塩は昔は海水を煮詰めて作っていたが、今はイオン交換膜を使ってほぼ純粋なNaClだけを生産している。海水には殆どすべてのミネラル物質が微量ながらも含まれており、生物の体に必要なミネラルもこれから摂ることができるのであるが、これが純粋なNaClになってしまうと、従来通りの食事をしていたのではミネラル不足になり、原因不明の病気になったりするのである。我々は一時は真っ白な砂糖やサラサラした純粋な食塩を不純物が無い高級品として使ってきた時期があった。しかしこれではいけないと気付いて茶色い砂糖やベトベトして薄汚れた食塩を高級品として使うように変わってきたのである。災害も同様、地面をアスファルトで覆い、川はコンクリートで固めたために却って洪水が起り易くなっている。防災工事と称する工事がいつもあちこちで行われているが、関係者の中でも無意味だと言われるような砂防ダムが作られたりしている。自然をよく研究して、自然に逆らわない形で行ってもらいたいものである。

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