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★★ どうかしたのか?「日本のものづくり」 ★★ 2013年2月11日

 長引く不況に伴いどうやら「日本のものづくり」も地に落ちたようだ。

 先日筆者が購入したワイヤレスマウスがたったの10日で故障した。購入した日から10日目までは正常に使えていたのが、その翌日に使おうとしたら、マウスポインター(矢印)が動かない。スイッチをOFF、ONしても駄目。電池を入れ替えてみても駄目。ワイヤレスマウスなんてメカニカルな部分はスイッチだけなので数年間の寿命まではまず壊れるものではない。と思っていたのが裏切られたのである。近くの家電量販店で買ったものであるが、壊れるとは思っていなかったのでレシートは既に廃棄していた。幸いにも取説兼用の保証書と店の保証書添付用紙は取っておいたので、購入店へ持って行って新品と交換してもらうことができた。

 このワイヤレスマウスは性能としては素晴らしいものである。ブルーLEDを使っているので、真っ白なテーブルの上でも使えるし、パソコンから10m離れた位置からでも操作ができる。しかもパソコンのUSBポートに繋ぐレシーバーは1円玉大で実に小さい。従って製品の開発力は認めるのであるが、短期間で壊れたとなると製造力というか、生産管理能力が疑われるのである。この分野では特に日本の製造業は優れていたはずである。

 筆者が近年購入してすぐに壊れた製品はこれだけではない。ソーラー電波腕時計でも経験した。アナログ的な秒針の付いたソーラー電波腕時計であるが、この秒針が購入後2,3日で狂いはじめ、1週間後には全く動かなくなったのである。これは購入店へ持参し、1週間ほど預けて修理してもらった。「ムーブメントを交換しました」として戻ってきたのであるが、これが1年強の保証期間経過後にまたもや秒針が動かなくなった。筆者や筆者周辺の人で、これまでに時計が早期に故障したなんて聞いたこともなかった。それだけ以前の日本製品の信頼性は高かったのであるが、そんな信頼性も裏切られてしまったのだ。秒針は動かないが分針は正確に動いているので、当分の間このまま使い続けることにしているが、非常に気分が悪い。

 筆者の趣味としているカメラも、レンズとの接点に不具合があるらしく、新品の時から頻繁にエラーを起こし、ここぞというシャッターチャンスを逃すことが度々である。一度修理に出したが、全く改善されない。レンズが純正でないため、それ以上強く言えず、我慢しながら使い続けている状態である。問題のカメラの4年前のカメラでは何の問題も起こさないので、新しいカメラで微妙に接点位置にブレがあるのではないかと思われるのである。

 最近の筆者の体験だけでもここに挙げた以上にいろいろ製品の不具合がある。ということは、今の日本全体ではかなり多くの製品の不具合が発生していると言える。

 高度成長の時代には「日本のものづくり」は「品質管理」や「改善活動」などを通じて素晴らしいと世界から称賛され、お手本にもされたものである。それが、日本のバブル崩壊以降次第に廃(すた)れ、リーマンショックなどによるさらなる経済悪化に伴い、日本企業も品質管理などにかける経費をどんどん削り、品質が悪化していったのではないだろうか。製造業の海外進出で[MADE IN CHINA]や[MADE IN THAILAND]などが増えたとはいえ、製造技術は日本のものをそのまま受け継いでいるはずである。世界相手の競争で日本は「技術」や「ものづくり」でしか強みはないのだ。この強みが無くなってしまったのでは、これからの日本経済が思いやられるばかりである。

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