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★★ 桑の実 ★★ 2011年06月05日

 筆者は毎日のように公園でウォーキングをしているが、この時期ウォーキングついでの楽しみがひとつ増えた。と言うのは桑の実が今、熟しているのだ。

 桑の実はあの童謡「赤とんぼ」の2番「山の畑の、桑の実を小籠に摘んだは、まぼろしか」に出てくる桑の実である。実は筆者は童謡「赤とんぼ」の歌詞はよく知っていたが、昨年まで桑の実は食べたことはおろか見たことも無かったのだ。筆者が育った実家の庭に桑の木は在った。これは子供の頃蚕を育てるために、どこからか持ってきて植えたものであるが、この桑の木に実は生ったことはなかった。桑の木は雌雄異株と雌雄同株があるそうで、たまたま雄株だったのであろう。このため桑の実を知ることなく高齢者と呼ばれるこの歳まできてしまったのである。

 桑の実を知ったきっかけは公園でいつものようにカメラを持ってウォーキングをしていたとき、おばさん達がワイワイ言いながら何か木の実を食べているのを見たことである。何の実だろうと見てみると、葉はよく知っている桑の葉だったのだ。そこでかの童謡「赤とんぼ」の歌詞を思い出し、「そうかこれが桑の実なんだ」とようやく気付いたのである。そこでその実を写真に撮り、ネットで桑の実を検索して同じであることを確認し、黒く熟したら食べる事ができ、甘酸っぱくおいしいこと、またアントシアニンをはじめとするポリフェノールも豊富で老化防止にもなり、体に良いことを知った次第である。その時は早速翌日ポリ袋を持ってウォーキングに出かけ、十数個の桑の実を摘んできて食したものである。さほど旨いものではなかったが、体に良いということで、その後も木に実が無くなる頃まで桑の実摘みを続けたのである。

 そして、今年はこの桑の実は大豊作のようで、枝が重みで垂れ下がる程の実を付けているのだ。昨年桑の実を知って以来注意してみているのだが、桑の木は案外たくさんあることを知った次第である。おそらくこの公園に大きな木が数十本はあるようである。丁度桑の実が熟す5月下旬から6月中旬の頃歩いていると道路に桑の実が落ちているのですぐ判る。また藪の中への人の踏み後があれば、その先に実を付けた桑の木があるのだ。それだけ桑の実を摘む人も多いようである。

 歩きながら、遠くから、桑の木の横を通る人に注目していると、色んなタイプがいることが判る。全く気付きもしないで通り過ぎる人は、かつての筆者と同様、桑の実を知らないのであろう。ちょっと見て「ああ桑の実が熟す季節だなー」と一応は関心は持つが、そのまま通り過ぎる人。ちょっと立ち止まって2,3個摘んで食べながら行く人。そして今の筆者のようにポリ袋持参で適度に摘んで持ち帰る人。また、桑の実を摘むことを目的にポリ袋にたくさん摘んで持ち帰る人とさまざまである。今年は大勢の人が摘んでも熟した実が無くなることがないほど、次々と熟している。子供の頃、村の中を歩き回って木イチゴや山ブドウの実を食べたことを想い起こした。

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