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★★ 消費税よりも高額所得者の所得税増税 ★★ 2010年07月15日

 今、財政再建のため、消費税増税が不可欠かのように叫ばれ、一般国民の中にも「しかたがない」と考える人も増えている。しかし、参議院議員選挙の結果をみると、消費税増税の話を出した菅総理の民主党は敗北し、消費税にはっきり反対していたみんなの党が予想以上に伸びた。これは消費税増税に反対する国民が多いということであろう。

 日本の債務は884兆円になろうとしている。あまりにも大きな金額で我々にはそれがどういうことなのかピンと来ない程であるが、そろそろ国の破綻が心配になってきている。まだ国債を買う人がいるから大丈夫だという意見もあるが、筆者は個人向け国債は買う気にはならない(買う金が無いので当然。たとえ金があっても買わないということ)。個人が買わなくても銀行が我々の預金を使って買っているのが現状であろうが、今のようなバラマキをしてまで借金を増やす政治を見ていると、まともな考え方をする人なら、あぶないと考えるようになるのではないか。国が破綻すると深刻な被害を受けるのは年金生活者や病人、障害者などの弱者なのである。

 この財政再建策として考えられているのが「消費税の増税」と「景気対策」である。ところが、消費税を増税すれば景気が冷え込むのは過去の例でも明らかであり、消費税増税分が景気悪化による減収で消えてしまうのではないかということで景気対策と相反する策なのである。さらに、景気対策というのは、これまで考えられるあらゆる策が投じられたが、借金を増やしただけで何一つ有効になっていないではないか。ならば「景気対策」は何をやっても無駄ということになる。

 では、消費税以外に策はないのかというと、「税」を考えるときに真っ先に「高額所得者の所得税増税」というのが挙がってきて当然なのに、これがあまり議論されていない。消費税を増税すれば、低所得者層の生活はたちまち苦しくなるのである。これは高額所得者よりも低所得者の方に税負担が重くなるという「逆累進性」の問題として論じられている。ならば、高額所得者の所得税を思いっきり高くすればどうかということになってよいはずである。企業の取締役報酬が1億円(年間)以上は開示するようになったところ、対象者が予想以上に多かったそうである。最高は8億円ももらっているとのこと。年収1億円の人達の所得税率をたとえ90%としたところで、手取りは1000万円もある。1000万円あれば充分贅沢な生活が出来、生活に困ることはないのだ。しかも、今の日本では格差が広がり、低所得層が増えた一方、高額所得層も増えている。ならば、消費税の増税分に見合う分を高額所得者への増税でまかなえるのではないか、ということになるのだが・・・過去には最高税率70%の時代もあったのに、金持ち優遇策がとられ、減税減税で今では40%にまで下がっている。逆に課税最低限は引き下げられ、年所得270万円でぎりぎりの生活を強いられている人にも税金を課しているのである。

 テレビを見ていると、たまに「富裕層への税負担増」という話がチラッと出ても、その話を誰も採りあげることなく消えてしまうことが多い。そうなんだ!テレビに出演して大きな声で意見を述べているのは100%富裕層なのである。テレビで政治討論する政治家、評論家、芸能人、司会者、はおそらく全員が年収1000万円を越えているでしょう。こんな人達が自分に不利になるような意見を出すわけがないのだ。

 いわゆる「国民総背番号制」もコンピュータの時代では個人の識別にコードを付けるのは当たり前のことで技術的には簡単に実現できるのであるが、発言力の強い富裕層が節税・脱税のために自分の所得をすべて把握されたくないのを「プライバシーがどうのこうの」とかこつけて反対しているのである。公平に徴税するためには不可欠な制度なのであるが、政治家も役人も決める側が皆富裕層では決まるわけが無いのだ。

 筆者のような低所得層でも意見を出せるのは、このようなあまり閲覧されることのないサイトでしかないのである。しかし、「金持ちの、金持ちによる、金持ちのための政治」にならないようにするためにもささやかな意見を出させていただく次第である。
「消費税増税ではなく、高額所得者の所得税増税で財政再建してください。」

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