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★★ もう一台カメラが欲しい ★★ 2008年09月20日

 筆者の撮影スタイルは野山の自然の中を歩きながら、風景、野草の花、野鳥を撮るという形である。この撮影スタイルはMinoltaのデジカメDimarge7(28-200mm)から始まった。このカメラでは広角〜望遠で風景を撮り、200mmマクロで花を撮ることができた。しかし、野鳥撮影には全く不足であったので、デジスコ(700-3000mm)を購入し、約2年間はDimarge7とデジスコを持ち歩いた。これらのカメラでは被写体に対するレンズの焦点距離としては中間が少し抜けているが殆ど問題無くカバーできた。しかし、デジスコではセット時間とカメラの起動時間とシャッタータイムラグ、バッテリー持続時間の問題があり、特に野鳥撮影ではチャンスを逃すことが頻発した。さらにデジスコは図体が大きく持ち運びが大変であった。

 4年前にデジタル一眼レフが手の届く価格帯に入ったことからNikonのD70とTamronのレンズ(28-300mm=35mm判換算42-450mm)を購入。しばらくはDimarge7(28-200mm)とD70(42-450mm)体制を採った。しかし、Dimarge7のAF動作の遅延やバッテリー問題に嫌気がさして、D70用の交換レンズを90mm=35mm換算135mmマクロ、200-500mm=35mm換算300-750mm超望遠、12-24mm=35mm換算18-36mm超広角と買い揃え、カメラはD70だけになった。

 D70と交換レンズ群の体制で、全被写体はカバーできるようになったものの、標準として28-300mmを付けて野山を歩いていると、広角で撮りたい風景に出会うことが多い。そこで12-24mm広角にレンズ交換する。ところが次の瞬間、小さな野草の花を発見。広角ではとても撮影できない。そこで90mmマクロに換えて撮影。そこに野鳥がやってきて近くで囀り始める。90mmマクロでは遠過ぎる。そこで、200-500mmの望遠に交換し、三脚をレンズの三脚座に付け替える。そんな作業をしている間に野鳥はどこかに居なくなっている。旅行社のツアーへの参加ではレンズ交換などしていたら置いていかれてはぐれてしまう。しかも風があると、レンズ交換中にD70のローパスフィルターにゴミが付く危険性がきわめて高くなる。目立つ大きなゴミが付いてしまうと、その後に撮影したものが総て使い物にならない可能性もあるのだ。

 そんなことで、色々考えあぐねた結果、カメラは2台とし、行き先に応じて風景主体なら28-300mmと12-24mm広角、あるいは野草主体なら28-300mmと90mmマクロ、野鳥主体なら28-300mmと200-500mm望遠というような体制で臨めば、レンズ交換の煩わしさは最小限にできる。もうひとつの方法として18倍、20倍という高倍率コンパクトデジカメを使う手である。これなら広角側は28mm望遠側は500mm程度はカバーでき、マクロも数cmまで可能というものが出てきた。これなら1台のカメラを持ち運ぶだけで重量もせいぜい500g未満である。しかし、高倍率コンパクトデジカメではCCDサイズが1/2.5インチ程度と小さく、デジタル一眼を使い慣れた後では画質的に満足できそうにない。

 と、いうことで、もう一台デジタル一眼レフを買おうということにした。手持ちのレンズはすべてモーター無し、半数はDXサイズ専用なので、同じニコンでも入門者向けの安価なD40とかD60では使えない*1。今販売されている中級機カメラ本体ではD80(585g)かD300(825g)しかない*2。ところがD300では本体の重量がちょっと重過ぎる。500g前後でないと、カメラ2台と交換レンズ、小型三脚の重量が4816g[595g(D70本体)+570g(12-24mm)+1226g(200-500mm)+405g(90mm)+420g(28-300mm)+600g(2台目カメラ)+1000g(三脚雲台)]を越えてしまうことになる。

 そこでD80にしようかということであるが、このカメラは発売後2年以上経っており、近いうちに後継機が出るはずである。デジタル一眼レフは性能/機能競争の真っ最中、新機種は連写性能、常用可能ISO、ダストリダクション機能、ライブビューモニタ、ブレ防止機能など、どんどん魅力的機能が増強されている。ならば最新機能を搭載した機種にしたい。そこで後継機が出るのを待つことにした。

 当初、2008年3月に出るかと期待したが、出ず。つぎに2008年6月に出るかと期待したが、7月1日発表になったのはフルサイズのD700でD80後継機ではなかった。6月時点のうわさによれば、8月発表の9月発売とのことであった。そして、2008年9月19日D90が発売となった。2台目デジタル一眼レフを買おうかと思い立ってから実に1年。よく待ったものである。待った甲斐があったと言うか、重さと価格の高さで手の出なかったD300並みの性能が今持っているカメラD70とほぼ同じ重さに収まっている。さらにレンズメーカーのTamronから18-270mm(35mm判換算27-405mm)でレンズ内手ブレ防止機能付き、AFモーター内蔵のレンズが時同じ9月20日に発売された。これを使えば、広角から望遠までレンズ交換無しで使える。撮像素子サイズを考慮すれば、高倍率コンパクトデジカメをはるかに超える性能になる。

 そして、ついにNikonD90本体とTamronB003とSDHC16GBをネットショップで注文した。筆者の購入パターンでは通常は発売から数ヶ月置いて、初期不良が対処され、価格が少し下がってからであるが今回は発売直後の注文となった。できればこの秋の山の紅葉撮影に使いたいからである。ここで「乞うご期待」と言いたいところであるが、山歩きで持ち歩くカメラ/レンズは1台になって撮影する画角範囲は以前より狭くなるので従来以上の作品は期待できない。車で行けるような場所では2台のカメラを使い分けるような撮影が出来るかもしれない。筆者自身が体が楽になるのとレンズ交換の煩雑さが無くなることを期待するだけである。

*1:NIKONは2006年12月発売のD40から初心者向けデジタル一眼レフのAF(オートフォーカス)用のカメラボディー内モーターを廃止し、総てレンズ内モーターに依存する形に変わった。そのためそれまでに発売された交換レンズではレンズ内モーターを持たないものが大半であった。
*2:レンズ交換式カメラ(デジタル一眼レフ)はカメラ本体と交換レンズを接続する部分(マウント)がメーカーごとに異なるため、既に持っている交換レンズを使うためには、同じメーカーのカメラ本体しか選択肢が無いことになる。

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