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★★ 地球温暖化問題に何が出来るのだろう ★★ 2008年08月02日

 地球温暖化問題はここ1、2年でマスコミなどに大きく採り上げられ、「もう後がない」とまで言われるようになった。特に洞爺湖サミットの主要テーマになったことでもあり、盛んに報道されている。

 地球温暖化のひとつ前は1987年のモントリオール議定書からオゾンホールの問題が騒がれた。この時はフロンガスが使えなくなり、エアコンのガスが総て置き換えられた。またエアゾールのガスも不燃性であったものが、可燃性に変わり、危険性が増すという結果になった。これでオゾンホールが無くなったかといえば、「ノー」であって、対策が遅れたことと、総ての原因物質が無くなったわけではないので、本当にオゾンホールが小さくなるのはまだまだ何年か先の話になるらしい。オゾンホールが原因かどうかわからないが、我々の生活で、昔は「おおいに日光浴をして日焼けしよう」と言われていたのが、近年は「紫外線予防をしよう」というように変わってしまった。かつて世界規模で取り組んだオゾンホールの問題は最近は殆ど取り上げられなくなったが、本当に後は時間だけの問題と考えてよいのだろうか。

 地球温暖化原因の温室効果ガスについても、1997年の京都議定書で対策が叫ばれて久しいが、減少どころか、まだまだ増え続けているのである。原因物質はCO2が主であるため、この排出を減らすというのは人間が文化的な生活を続けるうえではなかなか難しいというより不可能に近いと言える。

 今現在採られたり、提唱されている対策には次のものがある。

・エネルギー効率を良くする
  車や電気製品の効率を良くしてエネルギーの消費を減らし、元になる石油の消費を減らそうとしている。日本が先行していると言われている。これらは主にメーカーなど企業に依存するしかない。

・家庭での節約
  エネルギーの消費を出来るだけ減らすことと、物の消費も減らす。物を生産するのにエネルギーが消費されているからである。これは国民の意識に頼っているだけのため、どこまで長続きするのか疑問である。マイ・ショッピングバッグを使うだけで地球温暖化防止に貢献していると思い込む人も多いようだが、これは意識のスタートに過ぎない。

・エネルギー源を自然エネルギーに変える
  エネルギー源を風力発電、水力発電、波力発電、太陽電池など化石燃料を使わない自然エネルギーに変えるというのは、ある程度増えてきたが、問題点も挙がってきている。一般住宅での太陽電池設置は、まだコスト的に合わない。

・化石燃料以外から代替燃料を作る
  バイオ燃料がそうであるが、トータルで見るとこれはCO2削減には貢献していない可能性が大きい。元は化石燃料と同じ生物であり、燃料になるまでの期間が永いか短いかの違いだけである。折角CO2を吸収して均衡を保とうとしているものをすぐに元のCO2に戻してしまっているのだから、悪化させているとしか言えない。せいぜい廃棄物を有効利用するのが効果がありそうであるが、一般家庭で使用済み天ぷら油を回収してもらおうとしてもまだ近くに受け入れ先が見つからない状態である。

・原子力エネルギーの増強
  原子力発電ならCO2は増えない。しかし、核燃料廃棄物という別な問題が出てくる。

・燃料電池など新エネルギー技術の開発
  燃料電池は特に自動車用として期待されている。しかし、なかなか難しいようで、普及は何年か先になりそうである。工場や家庭向けの燃料電池発電装置も開発されている。ただし、これらに使うH2燃料の元は当分の間天然ガスや石油といった化石燃料に頼ることになる。尤も燃料効率はかなり高くなるので、化石燃料消費量を減らす効果はあるようである。

・人口を減らし、産業活動も低下させる。
  実はこれが最も確実で効果の大きい策であろう。人口が減少すれば、経済活動や生活により排出するCO2減少は大きい、さらに余った土地に植物が茂ってCO2を吸収するので、人口減少率以上にC02は減るであろう。ところが日本では折角人口が減少傾向になっているのに、増やす努力をしており、全く逆行である。
  地球温暖化対策として、人口減少対策と関連づけたり、産業活動低下という策はあまり出てこない。右肩上がりが当たり前としてきた我々であるが、これからは人口半減まで右肩下がりに考え方を変えなければならない。

・化石燃料の価格を政策的に大幅に上げる
  基本的には化石燃料は一切使うべきでない。そこで、価格を上げるのは最も効果の高い方法となる。価格が高ければ、当然節約するであろうし、代替エネルギーへの変換が促進される。これに課す「環境税」などは対策費に回せば一層促進できる。
  ここ数ヶ月間でガソリンや軽油の価格がどんどん上昇しており、いやおうなしに節約させられている。また次に車を買い替えるなら燃費の良い車にしようと誰もが考えていることであろう。

・住宅や事務所は超断熱構造にする
  建物を総て魔法瓶のような超断熱構造とし、換気は必ず熱交換式にする。そうすれば、冬は暖房しなくても人間の発する熱で充分暖かくなる。夏は人間の発熱量だけ冷やせばよいので、水の気化熱を利用した程度の冷房設備で間にあう。

・包装には石油製品は使わない。
  包装には昔のように、紙やセロファンなどを使用し、使い終わったら再資源化する。

・物の使い捨ては止め、長期使用の考え方に改める
  そうなれば、物は製造段階から超長持ちするように設計され、壊れて廃棄ということは無くなる。壊れれば修理して使う。家や家具は半永久的に使えるものにする。

・移動手段は自転車・電車にする
  片道10km程度までの移動は自転車を使用、それ以上は電車を利用。電車に自転車ごと乗れるようになればもっと進むであろう。飛行機の国内線はなるべく使わない。

 これだけの対策を全地球レベルで実行できれば、CO2排出量を半減させることは可能であろう。しかしかなりの設備投資が必要となる。家は建て替えなければならないし、太陽電池や太陽熱湯沸し設備もかなり高価である。オール電化も費用がかかる。日本だけで徹底するにしても大変なことで何十年も先のことになりそうである。これが、全世界となれば1世紀位はかかりそうである。その間に人口減少が達成できればよいが、人口増加が今のペースで進めば、地球温暖化云々よりも先に食料危機によるパニックがやってきそうな気がしてならない。

 我々一般人が現時点で実際に取り得る対策はというと次に挙げる程度であろう。

・車は次に買い換える機会には、小型で燃費の良いものにする。
筆者の今の車の排気量は1800cc、街中での使用では10km/Lであまり良くない。来年あたりに買換え時期になるが、その機会に軽か1000cc程度のミニカーにしようと考えている。

・なるべく車は使わない。可能な限り、電車、自転車を使う。
筆者は過去十数年間片道8kmの勤務先に自転車通勤してきた。ところが、最近勤務先が変わり片道32km程の車通勤に変わってしまい逆行する結果になってしまった。しかし、近場の移動は極力自転車を使うようにしている。

・家電製品も次に買い換える機会には電力消費量の少ない機種にする。
昨年「保温鍋」なるものを買った。調理鍋を魔法瓶に入れて保温するものであり、カレーなどの煮込み料理では、ガスレンジで一旦沸騰させた後、鍋ごと保温器に入れておけば、長時間煮込んだと同じになるというもの。また最近保温ポットも消費電力が電気店の展示品の中で最も小さい機種を買った。これらで極僅かであろうが、ガスや電気の消費量は少なくなるだろう。

・冷房温度を高め、暖房温度を低め
  会社で所謂「クールビズ」は実行してネクタイははずしているものの、実際の冷房温度は20℃に設定されていたりする。猛暑だと冷房設備能力が不足するので、必ず誰かが設定温度を下げるのである。

・マイショッピングバッグの使用
  筆者がよく行くスーパーでは何年も前からマイショッピングバッグを原則とし、ショッピングバッグは有料になっている。ところが、別のスーパーとかコンビニでは必要な枚数+1枚程度のショッピングバッグをくれるのが普通である。報道ではマイショッピングバッグを使うことでCO2○?削減などとPRしているが、あまりピンッと来ないのが現状だ。

 一般人のこの程度の削減努力ではおそらく増加率を少し抑える程度の効果であって、とても減少方向には向かいそうにないように思えてならない。ガソリン価格高騰はCO2削減には好機であるが、これを喜んでいる人は石油の先物買いをした投機家だけであろう。日本人の人口減少化もCO2削減には大いに貢献するはずであるが、これも人口減少化を喜んでいるのは筆者だけのようだ。どうも世界中で表向きは「地球温暖化を防止すべきだ!大変だ!」と叫んでいるだけで、実際には本当に有効な策が採られていない現状である。腹の底では、「本当に温暖化するのか?」、「いくつかの島が水没しても仕方あるまい」、とか「低地帯は堤防を高くして対策をとればよいのではないか」、などと考えているのではないだろうか。実際北極海の氷が無くなって新しい航路が開けたとか、新しい資源開発ができると喜んでいる人も多い。

 おそらく、人類は地球温暖化防止策を達成できないままで、気候変動という自然の力で、自然災害とか、食料不足、それらに伴う紛争や戦争で多くの人が犠牲になって地球の人口がかなり減少する状況まで行くのではないだろうか。その結果としてようやく温暖化の進行が収まるという最悪のシナリオしか見えてこないが、筆者にはそれを見届ける術はない。

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