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★★ ミミズの干物 ★★ 2008年07月19日

 筆者は最近昼食後に勤務先裏の公園の池一周約30分のウォーキングを始めた。以前は自転車通勤していたのであるが、勤務先が変わり車通勤になったため、運動不足防止のためだ。

 その公園のアスファルト舗装された遊歩道を歩いて驚いたのであるが、歩道の上に無数のミミズの干物が散らばっているのだ。踏まないように歩くのが困難なくらいの数である。若者なら「きも〜」と言いそうな状態である。ちょうど今の時季では夜の内に雨が降った翌日にカラッと晴れて真夏の太陽が照りつけるという天候が多いのが原因のようである。

 ミミズは通常土の中に居り、腐葉土を食べて栄養分を吸収し、残りを糞として排出している。食べるためには土の中をどんどん前進していくのである。アスファルト道路にぶつかった場合、カラカラに乾いておれば、方向を変えて、また土の方にもどるのであろうが、適度に濡れていたりすると、アスファルト歩道を横切ろうとするのだ。雨の翌朝はちょうどこの状態である。横断を始めたが、ミミズの進行速度は遅い。その内太陽がカーっと照りつける。たちまちアスファルトは焼け石になる。ミミズの水分は蒸発し、苦しそうにのたうちまわる。ついに死んで干物となる。干物は野鳥の餌にもなるが、食べきれずに残ってしまうのである。

 随分たくさんのミミズがいるものだと感心もするが、歩道をアスファルトで造るのはミミズに対して残酷な行為ではないかと思われた。遊歩道を造るなら、ミミズの通路(おそらくミミズだけではなく、モグラや昆虫も通る)を確保した敷石とかブロックで舗装すべきではないだろうか。最近野生生物に配慮し、道路を建設する場合に、野生生物の横断用トンネルや橋を設けているというニュースを耳にするが、まだニュースになるほど少ないのであろう。ミミズにも気を配るくらいの野生への配慮が望まれる。

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