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★★ コンピュータのあるべき姿 ★★ 2008年06月01日

 このコラムの過去の記事を読まれた方はお察しかと思われるが、筆者はマイクロソフトはあまり好きではない。好きではないが、WindowsやOfficeはデファクトスタンダードになってしまっているので、仕方なく使っているということである。代替OSやOfficeソフトが支障なく使えるようになれば切り替えたいところである。

 なぜ好きでないかというと、「ユーザーの身になって開発されていないから」に尽きる。好きでなくなった最大の問題は互換性である。筆者はパソコンのBASICの時代からシステム開発に携わってきた。BASICで開発したシステムはMS-DOS時代には全く使えなくなってしまった。MS-DOS時代にC言語で開発したシステムはWindows3.1時代には使えなくなってしまった。Windows3.1時代にAccessでかなり大規模なシステムを開発したが、OSがWindows95、98、ME、2000、XPと変わる間にAccessも次々バージョンアップし、その都度ソースをかなり書き換えないと新しいバージョンで使えないとか、とんでもない計算結果が出るという苦い経験をしたものである。バージョンアップにおいて形だけの変換ツールが提供されるが、これで変換しただけでは不十分で、必ずと言ってよいほどエラーが出たものである。企業のシステムとして大勢のユーザーが使っていてエラーで停止したり、間違った結果が出れば大問題となる。なのにマイクロソフトはそれらに対する配慮は不完全なまま次々バージョンアップしていったのである。そのため、ついにAccessは使用禁止とし、JAVAを使ったWEBシステムに切り替えた次第である。

 筆者はパソコンのMS-DOSの時代にIBMのオフコンであるAS/400のシステム開発にも携わってきた。こちらはどうかというと、同じオフコンというカテゴリーに入る他社品が全滅したにも拘わらず、AS/400(名前は変わってSystem i)は健在である。そして、パソコンのMS-DOSの時代に開発したAS/400のシステムは全くソースに手を付ける必要もなく、またオブジェクトもそのまま現在のハードウエアでエラーを起こすことも無く正確にサクサクと稼動しているのである。RPG等のプログラム開発環境に新しいILE環境が追加されたが、新旧混合したプログラムでも何の支障も無く稼動する。優に16年前のRPGプログラムと今日作った最新のWEBプログラムを連携させて動かすこともできるのである。

 AS/400の古いシステムでは大昔のコンピュータと同じグリーン画面(黒地にグリーンの文字)であるとか、日本語に未だにシフトコードを使っているなどの「ダサイ」部分も残っているが、大昔のシステムと最新のシステムが共存連携でき、エラーを出すことなく正確に稼動するというのは「すばらしい」ことである。というか、コンピュータの世界ではこれが当たり前であるべきであり、「発展」を優先して「互換性」を犠牲にするというのはあってはならないことなのである。証券会社や銀行の新しいシステムで問題が絶えないが、問題無く稼動している古いシステムに新しい機能を追加するという形でシステム改良ができれば起こらなかった問題のようにも思える。安易にスクラップアンドビルドがなされるが、ハード・ソフト共、コンピュータシステム発展において、基本的な姿勢が間違っているのではないかという気がしてならない。IBMのAS/400に対する姿勢は賞賛すべきものであり、今後も維持してもらいたいものである。

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