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★★ 仕事中のITツール私用 ★★ 2003年11月28日

 先日、東海道新幹線運転士が運転中に携帯電話で写真を撮ったり、それをメールで送ったりしていた、とか、仕事中に会社のパソコンを使って自分の趣味の掲示板書込みをやっていた。などの報道がありました。新幹線運転中の携帯使用というのは、大勢の命にも関わる言語道断の行為で、仕事中の掲示板書込みとは分けて考えなければならないが、共通する点としては、ITツールの使用が誰でも何処でも何時でも使えるようになり、気軽に楽しめるようになったということでしょうか。

 「仕事中に使う」というのが、どこの会社でも問題視するようになってきている。かっては、仕事中の職場での私語や私用電話という問題があった。でもそれは同室の上司の監視の下であるため、隣の席の同僚と仕事の会話に2言3言趣味の話を挟む程度しかできなかったし、私用電話も机の上に固定された電話では、上司の居ない内にこっそり使うとか、子供が病気だとかの緊急の用件でしか使えなかった。これがどうだろう、今やパソコンというか、仕事では社内ネット・インターネットに繋がった端末機が無いと仕事にならない時代である。仕事の電話もダイヤルインに取って代わってもっぱら携帯電話を使うようになってしまった。だから、人に聞かれないように、廊下へ出て話せる。上司への報告も口頭や紙の報告書ではなく、メールや日報システムへの入力である。上司はメールやコンピュータシステムを通じて部下の仕事の進捗を知り、メールで指示するようになってしまい、部下が今現在何をしているのか部下の後ろに回って彼の端末画面を覗き込まないとわからないし、そんなことはやってられない。だから、仕事中でも仕事の振りをして趣味の掲示板への書込みができてしまうのである。たとえ、上司が覗きに来たとしても、瞬時に仕事画面に切り替えれば判りっこない。実際、私自身が写真や野鳥の趣味を持ち、これらに関する掲示板を読んだり書き込んだりしている(もちろん自宅に帰ってからですよ)が、書込み時間を見るとあきらかに仕事中と言える10:23とか14:10とかの書込み時間が記録されているのがかなりある。書き込まれた結果から追求しようにも、匿名だからわかりようがない。掲示板を運営している側でも、犯罪に関わっているような場合以外は書込み元のIPアドレスも明かしてくれない。アメリカでもインターネット私用による仕事の効率低下による損失が大きいと問題視されている。

 さて、このような勤務時間中のITツール私用を止めさせることができるだろうか。特定のアダルトサイトへのアクセスだけをチェックする程度なら可能であり、実際に活用されているようである。しかしその他一般サイトへのアクセスやメールの公用か私用かについてはチェックのしようがない。すべてのログを記録しておいてチェックするなんて技術的には可能性はあっても、実際できっこない。私用によるロスより大きな経費がかかるかもしれないのだ。企業では、「ルーターにチェックツールを導入して監視していますよ」と実際やってなくてもそのようなアナウンスをしておけば、確実に減らすことはできるでしょうが、そんな虚偽のアナウンスが企業として許されるのか?また、別の見方もある。今や多くの企業が能力給を採用し、仕事の成果に応じた給与を支払うようになったので、勤務時間内に息抜きに何をやろうが、仕事の成果が上がればそれでよい。給与をたくさん貰いたい人は、掲示板書込みなんかやらずに一生懸命仕事をするはずだ。結局は個人のモラルに頼るしかないということである。いつの時代も企業にとって社員教育・モラルの教育も大切ですね。

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