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★★ 最近の映画館 ★★ 2008年02月09日

我が家に比較的近い駅前に新たなショッピングセンターが開店した。
ここには上層階に9スクリーンもの映画館が併設されている。
話題のためにも、一度観に行こうと、行ってみた。
筆者が映画館で映画を観るのは40年振りかも知れない。

 昔の映画全盛の時代は月に1回程度は映画館へ行ったものである。観た映画は時代劇、SFもの、戦争ものが多かった。記憶に残っている題名では、「紅孔雀(連続もの)」「忠臣蔵」「ベンハー」「十戎」「宇宙人東京に現る」「南極(日本初の南極観測記録)」「麦(地方からの集団就職を描いた)」「小熊物語(ツキノワグマの生態)」「日本かく戦へり」などなど。また巡回映画と言って夜の屋外広場で上映されるのを観に行ったものであった。これではチャンバラものが多かったがなぜか「ひめゆりの塔」が記憶に残っている。

 これがテレビその他の娯楽の登場ですっかり寂れて、街の映画館は殆どが姿を消して行き、大都市の繁華街に1、2館が残る程度になっていた。

 家庭のテレビも大画面でハイビジョンが楽しめるようになったのに、なぜか映画館の映画が少し復活してきたようである。家庭で大画面高画質が観られるようになり、大画面の良さに魅せられ、もっと大きい画面で楽しみたいというようになったのかも知れない。

昔と変ったなと思ったのが、

1.全席指定席であったこと。席は6割程が埋まった状態で前席と両サイドは空席であった。昔は結構混んでおり、一本が終わって帰る人が出るまで立ち見というのが多かった。
2.大半の人が飲み物とポップコーンを持って席に着いていた。席に飲み物のカップ台が付いている。席も広くゆったり。
3.映像は完全にデジタル化で、フィルムのようなちらつきや縦線の傷は全く無い。
4.宣伝や予告編はあるが、ニュースは無い。昔は必ずニュース映画が上映され、独特な口調のアナウンスがあった。
5.さすがに出来たばかりなので、清潔できれいな映画館である。

 おそらく昔のような映写技師なんて要らなくなり、映写は総てコンピュータが行っているのであろう。ちなみに、昔の映写機は光源にはアーク灯が使われ、この調節にはかなりの技術を要した。昔は当然フィルムが使われ、切替操作にもかなりの技術が必要であった。何かの事故でフィルムの動きが止まるとアークの熱でフィルムが溶けたり燃えたりしたものである。それが観客にももろに見えたのである。

 今回観に行ったのは「アース」であった。地球の大自然の美しさを表現するとともに、温暖化の危機を訴えるものである。この映像の大部分はNHKのテレビで観たことがあるもので、テーマに合わせて編集されたものであるが、映画館の大画面だけに迫力はあった。大自然を通常そこへ行っても見られないような視点で撮影された映像も多い。ヘリコプターを使った映像、パラグライダーを使った映像、1年間を数十秒に納めた映像、猛獣や象を真近に観るものなど、一体どうやって撮ったのだろうと思われる映像も多い。色んな映像の溢れる今日この頃である。映画というものも、単純な映像では見向きもされないので、「美しさ」「雄大さ」「意外さ」「珍しさ」「奇抜さ」・・・を求めた撮影のプロの苦労が推察される映画であった。

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