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★★ 新世代DVD規格争い ★★ 2008年01月12日

 新世代DVD規格はブルーレイ方式とHD方式で争ってきたが、2008年の新年早々ワーナーブラザーズがブルーレイディスクの単独採用を決めたことから、映画会社が次々とブルーレイ単独採用に移りつつあり、映画ソフト面ではブルーレイに軍配があがったような感がある。

 かつてのビデオテープ規格で、VHS方式とベータ方式の争いとよく比較され、性能的にはベータ方式の方が優れていたが結局はソフトが豊富であったVHS方式が勝ち残ったことから、今回もソフト制作元である映画会社の動向が注目され、今回その多数がブルーレイに傾いたことから「勝負あり」との判定が出かかっている。

 しかし、今回の規格争いは前回のビデオテープの時とは周囲の環境がかなり異なることを考慮しなければならない。何が違うかというと、

1.ビデオテープの時は録画メディアとしてはテープしか無かったが、今回は新世代DVD以外にハードディスクやフラッシュメモリー、従来のDVDがある。
 一般消費者が「録画」する最大の目的は、観ることができない時間帯の放送番組を自分の都合の良い時間帯に観るということである。これにはDVDに録画する必要はなく、ハードディスクで充分であり、既に大容量ハードディスクを備えたビデオレコーダーがかなり普及している。

2.ソフトの流通手段として、DVDディスク以外にネットやケーブルテレビがある。
 これまでは、テレビや映画館以外で映画を観たい時には、テープやDVDを買ってくるとかレンタルショップで借りてくるしかなかったが、すでに音楽がかなりの比率でネットに移行したように、映像ソフトもこちらに移行するものと思われる。また、ビデオオンデマンドといったものも普及してくれば、観たい映像が観たい時に観られるということでディスクに録画する必然性はない。

3.従来のDVDでも充分であるとの見方もできる。
 アナログ放送の録画映像ではゴーストが出ていたりで品質が悪かったが、デジタルになれば何もフルハイビジョンでなくてもきれいな映像を楽しむことができるので、従来規格のDVDでも充分という見方もできるであろう。今出ている32インチ程度のテレビではアナログとデジタルハイビジョンの比較ができるが、デジタルで観ている途中でアナログに変えても観るに耐えないほどの大差はない。まして、ポータブル機器の小さな画面で観るには新世代DVDなど過剰品質でしかない。松下が現行DVDにフルハイビジョン画質で最長3時間録画できるDVD/HDDレコーダーを発売したが、これで充分ではないか。

4.録画したディスクを友人知人同士でやりとりすることについては元々著作権法違反であり、デジタル化では制約が厳しくなり容易ではなくなる。
 今現在デジタル放送ではコピーワンスが適用されており、ディスクにコピーして誰かにあげてしまうと手元には残らない。これが10回までOKになるそうだが、コピーしてあげるというのは違法でもあり気軽にはできない。そうなればディスクに録画する必要はないということになってくる。

 となれば、単に大容量の記録メディアがひとつ追加されるというだけのことであり、消費者にとってはそれがブルーレイであってもHDであってもどちらでもよく、願わくば単位容量あたりの価格が安いものであり、過去の資産との互換性を持たせたいということだけになる。ここ数年で記録メディアはどんどん変ってきており、消費者としてはどうすればよいのか迷ってしまうのである。消費者がディスクにしてとっておきたいものは、ビデオカメラで撮った子供の記録であったり、趣味で撮り溜めた写真などである。折角ディスクにして保存しておいても、子供が成長したとき思い出として再生したいときにすでにそのディスクの再生装置は無いということでは困ってしまうのである。マメにその時代に応じた記録メディアに移し替えていかなければならないということが強いられているのである。

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