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★★ 規制強化で増えたゴミの不法投棄 ★★ 2003年11月28日

 最近は環境への配慮が益々重要視されるようになってきた。我々住民という立場では好ましいことである。しかし、企業の立場では環境対策は非常に厳しく、金のかかる問題になってきている。産業活動をすれば必ず産業廃棄物が出るのだが、この産業廃棄物の処理に高額の費用がかかり、産廃業者に委託する場合も、終末処理場までチェックしていかないと、どこで不法投棄されてその責任が降りかかってくるかわからない。会社のイメージとしても、「環境を重視しています」というような、環境報告書を出したり、ホームページで「環境への取り組み」をアピールしたり、ISO14001を取得したりしなければ、製品を買ってもらえない、求人にも支障がある、株価にも影響するなど、おろそかにできない要素になってしまった。そこで、製品そのものも、廃棄する時には再資源化可能な素材を使い、ばらし易い構造にするなど、また工場もゼロエミッション運動を提唱し、廃棄物を一切出さない方向で努力している。

 東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県の1都3県で平成15年10月1日から排気ガス対策の無いディーゼル貨物車・乗合車の地域内運行禁止の規制が始まり、真っ黒な排気ガスを出す車はかなり減ったように思える。かっては山の坂道で前を走るトラックに真っ黒な排気を浴びせられ嫌な思いをしたものであるが、これからはこんなことは無くなるのであろうと期待している。この先早く燃料電池車に変わっていって欲しいところである。

 そんなことで、環境がどんどん良くなることを期待しているのであるが、夜間通行量が少なく人目に付きにくいような道路脇には必ずといっていいほど不法投棄のゴミが捨てられている。川の水質は下水道の普及や厳しい排水規制で次第に良くなっているのに、川にはペットボトルや飲料水の空き缶、プラスチック類などゴミが目立つ。規制が厳しくなり、廃棄に費用がかかるようになったため余計不法投棄が増えたような気がする。おそらく、悪質で企業イメージを考える必要のない業者や個人の仕業と思われる。上述のようにまともな企業はいやおうにも環境対策をとらされているのに、これら不法投棄に対する公園、河川敷、山林などの管理組織の対応は全くといっていいほど駄目ではないだろうか。公園の隅に不法投棄された自動車やタイヤ、家電製品などのゴミがいつまでも放置されたままであったりする。そうすると、必ずその隣に新たなゴミが捨てられるのである。不法投棄は重大な犯罪であるので、もっと監視を厳しくして取り締まり、投棄されたらすぐにゴミを回収し、分析をして不法者を探し出すなどの対策を採るべきではないだろうか。行政は法律や条令を作るだけでなく、それを守らせる対策を同時にとってもらいたいものである。瀬戸内海豊島の不法投棄事件や青森・岩手県境の不法投棄事件も、なぜそんなに長期間膨大な量の不法投棄を放置したのか全く信じられない。県が産業廃棄物処理業を許可したのなら、許可した責任があるだろうし、公園や山林を管理しているなら、管理責任があり、「発見が遅れた」という言い訳は通用しないはずである。もっと行政の責任は追及されるべきではないだろうか。悪徳業者は始めから、儲けるだけ儲けて解散するつもりなので、後始末は税金で負担することになってしまうのである。

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