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★★ バイオ燃料 ★★ 2007年07月01日

 地球温暖化問題からバイオ燃料が脚光を浴び、食料が値上がりするという思いもかけなかった現象が出て問題化している。

 元々石油資源が無いが穀物が豊富なブラシルなどではバイオ燃料を早い時期から導入してきた。アメリカや日本でもそれに倣ってバイオ燃料導入の方針を打ち出している。バイオ燃料と呼ばれるのは、穀物のデンプンを発酵させて得られるエタノールとか、植物油である。これらは大気中の炭酸ガスを吸収して得られたものなので、燃焼させても元の炭酸ガスに戻るだけなので、炭酸ガス濃度増加にはならない。ということである。太古の昔から薪を燃料として使ってきたのと同じだということである。

 ところが、よく考えてみて果たしてそうだろうかと疑問が浮かぶ。

 歴史的に見てみると、昔も人間が大量に木を切って燃料にしたことにより森林が無くなり砂漠化したという事実もある。これは炭酸ガスの吸収源を破壊してしまったということである。吸収源を破壊してしまえば濃度増加になるであろう。ブラジルでも、森林を破壊してトウモロコシ畑などに農地化する問題が挙がっている。熱帯雨林は重要な炭酸ガス吸収源であったのが、農地化すると炭酸ガス吸収能力はかなり低下してしまいそうである。

 さらに、エタノールにしろ植物油にしろ、製造過程でかなりのエネルギーを必要とするものである。そんなことをして製造されたバイオ燃料が本当に炭酸ガス濃度増加防止に役立っているといえるのだろうか。かなり疑問である。熱帯雨林は農地化せずに熱帯雨林のまま置いておいた方が余程炭酸ガス吸収能力で貢献するように思えるのである。

 本当に大気中の炭酸ガス濃度上昇を防止するなら、無駄に焼却しているものを燃料化するのが有効と思える。日本では「ゴミ」である。理屈上は燃えるゴミならすべて燃料化は可能のはずである。燃料化できそうなゴミとしては、住宅廃材、稲藁など農業廃棄物、生ごみ、プラスチックごみ、有機産業廃棄物、など等かなり大量にあり、現状では処分に困っているものばかりである。種類によるが、細かく砕いて、微生物を作用させることにより、可燃ガスやアルコールなどに変換できそうである。下水処理場が生ゴミ処理も受け入れて下水と一緒に発酵させてメタンガスにして都市ガスとして供給すれば、炭酸ガス削減効果はかなりあるのではないだろうか。人間の排泄物、廃棄物を全部有効に使えば、日常生活の調理に使う燃料程度は作れそうな気がする。

 では車の燃料はどうするかであるが、水素やアルコールを使った燃料電池が究極であろう。水素源は前述のメタンガスや太陽電池とか風力発電による水の電気分解であろう。また燃料電池ばかりに頼らず、車の屋根をすべて太陽電池にすれば、晴れた日ならこれだけで走れるようになるだろう。

 何はともあれ、食料である穀物や食用油をバイオ燃料にしてしまうのはどこか間違っているように思えてならない。

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