戻る コラム一覧 山写真紀行

★★ 当たらない天気予報 ★★ 2003年11月22日

 先日、趣味の野鳥撮影に朝から自転車で出掛けた。テレビの天気予報では曇のち晴であった。Yahooのスポット天気予報も同じであった。が、実際の雲行きにやや不安もあったので、一応傘も持って出掛けた。1時間程すると、ポツポツと雨が降り出した。曇のち晴の予報だから、大したことはないだろう、すぐに止むかな、とさらに遠方に向かった。ところが、止むどころかどんどん大降りになったのである。傘を持っていたので、傘をさしてしばらく止むのを待っていたが、一向に止みそうに無く仕方なく、雨の中、機材をリュックに担いで傘をさして自転車で帰宅したのである。昼を過ぎた頃ようやく雨は上がり、晴れてきた。確かに「のち晴」は当たっていたが、雨は予報になかった。曇と雨は大違いである。こんな時には気象庁を罵倒したくなる。

 気象庁は1996年から、1か月予報にスーパーコンピューターを使った「数値予測」の手法を導入。今年(2003年)3月からは、3か月予報にも取り入れた。ところが、今年の梅雨〜夏の長期予報は大はずれ。原因は偏西風の動きがどうのこうのとの言い訳で重要な偏西風の動きを予測できなかったのである。人による予報より5ポイント向上して予測精度は44%とのこと。50%を割っているということは、「明日天気にな〜れ」と下駄を投げて裏表で予報するのと同じでまるで当たっていないということになる。

 天気予報というと、私のような凡人では、出勤時に傘を持っていくかどうかとか、休日に山登りするかどうかとか、運動会ができるのかな などですが、仕事に天気が関わる人にとっては死活問題になる重大要素である。屋外で工事をする会社では、雨では仕事が出来ない。弁当屋さんは晴れの予報がはずれて雨になったりすると売れ残りで大変な損失を被ることになる。農家は作物の出来不出来や病害虫対策とのかかわりで、田んぼの水の量を調節したり、薬剤の準備をしたり、これを間違えると大変なことになる。漁師も漁の成果だけでなく、船の遭難など命にかかわるのである。間接的な要素まで考えると世界経済全体が天気の影響を受けていることになる。だから気象庁が一生懸命高価なスパコンや高額の人件費を使って精度向上に取り組んでいるのであろうが・・・

 東北地方の農家では気象庁の長期予報はあてにしていないとか。長期予報と今日明日の天気予報を一緒に扱ってはいけないかも知れないが、今日明日の天気でも概ね当たっているものの、信用できない面も多くある。現在既に雨が降っているのに、「曇のち雨」と言ったり、既に晴れてきているのに「この後晴れてくるでしょう」など、今日も、予報では「朝の内雨で午後晴れる」というのに、9時頃にはもう晴れている。数時間のずれは日常茶飯事である。私も天気予報は参考にするが、最終的には空を見て自分の勘で、傘を持って行くかどうを決めている。

 コンピューターによる数値予測への切替はまだ早かったのではないだろうか。エアコンの効いた部屋でコンピュータから出てくるデータを見て予報を出す予報官(これ皮肉)よりはコンピューターの方が精度が上がったかもしれないが、地球温暖化など過去に無かった要素が大きく影響している現状ではまだまだデータ不足の感がしてならない。おそらく少なくとも今日明日の天気の範囲では、長年毎日空を眺め、風を肌で感じている農家の方や漁師の方の伝統的且つ感覚的予報の方がずっと精度が高いように思える。

BACK