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★★ なぜ憲法を変えなきゃいけないの? ★★ 2007年05月19日

今改憲論争が盛んだ。

 なぜ憲法を変えたいのだろうか?国民から変えたいという声が上がってきたわけではない。政府内では前から変えたいという声が上がっており、何とかこれを国民の声にしてしまおうと一生懸命宣伝をしているという現状ではないだろうか。

 いったい憲法のどこをどのように変えたいのか、あまり明確に伝わってこない。「60年も経ったから」とか「アメリカに押し付けられたものだから」とか「国際協調ができないから」ということである。前2つの理由は理由にならない。いくら年数が経とうが、問題無ければ変える必要はない。アメリカに押し付けられたとしても、問題のないものなら押し付けられたものでも変えなくてもよい。

 改めて日本国憲法の全文を読んでみた。以前は憲法を読もうと思えば図書館へでも行かなければ読めなかったが、今ではGOOGLEでもYAHOOでも「日本国憲法」と入れれば、憲法の全文から憲法に関するあらゆる説明や意見も手に入れられる。

 国立国会図書館の憲法に関するサイトはこちら http://www.ndl.go.jp/constitution/etc/j01.html

 全文を読んでみたが、「これは変えた方が良い」という条文はひとつも無い。「この条文で我々国民は幸せに暮らしてこれたのだ」というような、読んでいて涙が出そうな条文も多い。

 人生の殆どを今の憲法で過ごしてきた筆者は、今の憲法のひとつとして問題だと感じたことはない。実にすばらしい憲法である。アメリカから押し付けられたにしても、起草した人は理想的な国家を夢見て作ったのであろう。むしろ国民の権利などは日本政府独自で作ったものではないからこそ今のような権利があたえられたのではないかと思われる面もある。

 政府が変えたいのは結局、「戦争に加われるようになりたい」とか「国民の権利を少し抑えて政府がやり易いようにしたい」ということであろう。これは我々国民からすれば、我々の税金を外国の戦争に使ったり、若者を戦争に出して死なせたり、生活が多少苦しくなるのは我慢しろということを意味しているのである。

 改憲論争に具体的な変更内容があまり挙がって来ないのも変な話だ。これから草案を作るにしても、具体的に「こうしたい」という企みがあっての話なのである。

 おそらく、これから先、あからさまではないにしても、政府からは我々国民をどうごまかすかという策が次々と出てきそうな感じがする。具体例では問題無さそうな解釈例ばかりが表に出て、ちょっとまずい解釈例は隠され、「当然憲法は変えるべきですよね!」と洗脳されていくのであろう。

 教育の場で改憲反対のような意見を述べれば、即処分。マスコミで反対に偏った意見が出されたら指導を受けるとか、このような反対意見をホームページに載せれば、検索対象からはずされるというようなことが密かに行われるような予感もする。これは今の憲法第21条で

   集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
 2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

として保障されているのであるが・・・

 いずれ国民投票が行われることになるのであろうが、我々国民は、洗脳されることなく現憲法と新草案をよく読み比べ、新草案でどんな解釈がなされようとしているのかも考え合わせて賛成反対を決めるべきであろう。国民投票で半数以上の有効票を得ない限り憲法は変えられないのである。

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