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★★ 嘘を鷽に ★★ 2006年12月29日

12月12日「漢字の日」に清水寺で発表された今年の漢字は、「命」であった。悠仁親王の誕生。飲酒運転によるひき逃げ、いじめによる自殺問題など、明暗共に命のかかわることが多かったとのことで、妥当と思われた。

 筆者が見た今年の漢字は「嘘」である。とにかく、何でもかんでも嘘が元の悪いことが多かったように思える。企業の関わる事件は皆「虚偽」が元になっており、粉飾決算であったり、税金の虚偽申告であったり、で、企業トップがペコペコお辞儀をして入れ替わる。とそんな事件が多かった。建物の構造計算も嘘、医療保険の勧誘も嘘で、いざ病気になっても保険を支払ってくれない。学者までもが嘘の捏造論文を発表している。振り込め詐欺は騒がれているのに被害が減らない。インターネットの世界でもオークションで品物が届かないとか、迷惑メールの中身は嘘づくめである。政治の世界でも嘘をついて辞めさせられている。

 誰もが子供の頃に「嘘をついてはいけない」と教わったはずである。嘘は何時かはばれるもの。嘘をつき通せるものではない。なのに、嘘がばれて騒がれている傍らで次々と新たな嘘をついており、何と愚かなものかと嘆かわしく思われるのである。今や、どんな話が来ても一旦は「眉に唾をつけて」から対応しなければならない世の中になってしまった。

 野鳥についても今年はあっちこっちの公園で鷽(ウソ)が多く観られるようで、バーダーを喜ばせている。鳥のウソは「悪い事を嘘にして幸運に変えてくれる」鷽替え神事に使われるということで、縁起の良い鳥とされている。神様が人間社会のあまりの酷さを見かねてたくさんの鳥のウソを遣わしたであろう。嘘つきから始まった多くの嫌な事件はすべて「鷽」にして今年を締めくくりたいものである。

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