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★★ 電波時計の時代が来た ★★ 2006年05月20日

 我が家の掛け時計が狂いだした。電池を入れ替えてみたが、やっぱり狂う。寿命だなと判断し、買いに行った。時計売り場に陳列され売られている掛け時計は殆どが電波時計になっていた。ずいぶん変わったものだと驚いた。

 時計はゼンマイを動力源にして振り子かテンプで時をきざむという時代が長く続いてきた。少しでも正確に、長持ちするように軸受けにサファイアを使って24石時計とか言って石の数を競った時代もあった。ゼンマイを巻く手間を省けるようにと、自動巻き腕時計や電池式掛け時計も開発された。このあたりまでの時計は高価なものでも月に数分の狂いが出て、ラジオの時報に合わせるという作業は日常的に行ったものである。この頃の正確な時計はというと、時計屋に象徴的に置かれていた大きな振り子時計で、時計屋さんは時計を売る際にこれを標準時計として時間を合わせてお客に渡したものである。これがクォーツ時計になると桁違いに正確になったものである。月差数秒以下というのも常識的になり、時計を合わせるという作業は殆ど無くなった。しかし、それでも何年間か使っていると、2、3分進んだり遅れたりするもので、これを信用して電車に乗り遅れるというようなことも起こるのである。

 電波時計になると、総ての時計が秒針までぴったりと合っているのだ。昔の時計屋ではたくさんの時計が並んでいると、分針の位置は多少違っていたものである。これが、今の時計屋では十数台並んだ掛け時計の秒針までもがぴったり同じで動いているのだ。ある意味で気味が悪いほどである。

 時計というのは、正確な時間を指して時計である。狂っておれば、いかに優れたデザインでも価値がない。100万円以上もする○○ブランドの腕時計をしていても、それが数分も狂っておれば、時計の価値はなく、アクセサリーとしての腕輪よりも見劣りしてしまうのである。最近は腕時計を付けない若者も増えたそうで、『時間は携帯電話を見ればわかる』と携帯電話が時計代わりになっている。携帯電話の時間は局側で正確な時間に補正してくれるので、電波時計と同じくらい正確になっているのだ。パソコンもインターネットに接続していると、自動補正をしてくれるので秒まで正確である。

 テレビは地上波デジタル放送が始まって時報が無くなった。これはデジタル処理による遅延が発生するので、時報にならなくなるためだ。それに電波時計が普及すれば、テレビやラジオの時報の必要性も無くなってしまうのである。

 全世界が秒まで完全に一致した時計を持って生活する時代に突入しようとしているのである。我々の生活パターンも多少は変わってくるのであろう。では何が変わるかを考えてみて、劇的に変わることはなさそうである。まず、時刻合わせという行為は不要になる。そして時計に表示されている時間を秒まで絶対的に信用するようになる。で、何に使うかというと、離れた場所で「セーノ」で同時に何かをやる時に、電話をかけながらとか時報に合わせてでなくても同時にやれる。ただし、同時発生テロには使わないでほしい。

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