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★★ 歳とると月日の経つのが速くないですか ★★ 2002年8月2日

 もうすぐ還暦という歳になって、最近1週間が実に短く感じるようになりました。1週間だけでなく、1ヶ月、年があっという間に経ってしまうようです。よく、同年代の人との間で、「このあいだ正月を迎えたばかりなのに、もうお盆だ」などといった会話が交わされることが多いですね。どうも歳を重ねるほどに月日の経つのが速くなるようです。若いころはそれほどでもなかったような気がしますが、なぜでしょう?
 これは私の考えですが、記憶力の問題のようです。多くの事を記憶しておれば長く感じ、少なければ短く感じる。「歳を重ねるほどに月日の経つのが速くなる」とは裏を返せば、「歳を重ねるほどに記憶力が低下している」ということだと思います。記憶力の良かった子供の頃は見た事、やったこと何でも記憶するものです。1日の出来事も、今日は朝ご飯に目玉焼きと味噌汁を食べて、○○君と学校へ行って、一時間目は国語で教科書の△△のところを勉強して 2時間目は・・・・、学校から帰ってから犬のポチと××公園へ散歩に行って、□□君とかくれんぼして遊んで・・・と事細かに記憶しているものです。だから、 1日を思い起こせば次々記憶がよみがえって、随分長い1日を過ごしたように感じるのです。

 ところが、50歳も過ぎると、朝ご飯で何を食ったかな?今日1日何をやったかな?と、なかなか思い出せないもので、覚えているのは、電車が遅れて遅刻しそうになったとか、何か重大な出来事ぐらいです。1日の記憶は少ししかない。だから1日は短く感じるのです。今日の出来事すらなかなか思い出せないのですから、1週間前や1ヶ月前の細かいことは全く思い出せないか、思い出すのに相当な時間がかかります。だから1週間も1ヶ月も1年も子供の頃に比べてずっと短く感じるのですね。

 とは言っても、歳をとってからでも1日が長く感じることはありますね。どんな1日でしょうか。そうです。重大な出来事があったりした時、例えば奥さんが突然心臓病で倒れて入院させて緊急手術をしなければならなくなったが、輸血用の血液が足りない。知人に次々電話して AB型の人を探して採血のお願いをして・・・・と、こんな1日は途方もなく長く感じるものです。1日を思い起こせば、ああやって、こうやって・・と次々と記憶がよみがえってきます。こんなに重大な出来事があると細かいことまで大量にしっかり記憶しているからです。

 さて、1日は長い方が良いのか、短い方が良いのか、それは人の考え方次第でしょうが、理想的には、楽しい良い思いでがいっぱいで人生を長く感じたいものですが、人生とはそうはうまく行くものではなく、記憶に残っているのは嫌なことばかり。だったらみんな忘れて短く感じる人生で良いのではないでしょうか。

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