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★★ 北極星の見えない場所での天体撮影-赤道儀の極軸合わせ ★★
2015年12月10日

 筆者は北極星の見えないバルコニーで天体撮影することが多いので、赤道儀の極軸合わせの方法をインターネット情報も参考にしながら色々やってみました。その結果を自分自身のメモを兼ねて、以下に挙げておきます。

 撮影場所に出来るだけ正確に東西方向に三脚の2本の脚を合わせて設置できるようにマーキングしておきます。

 北極星の見える場所で
 三脚の2本の脚を東西方向にできるだけ正確に設置します。残り1本は状況により、北または南になります。
 赤道儀を取り付けた微動雲台の水平を三脚の脚長調節で完全にしておきます。
 微動雲台付属の小さい水準器では完全な水平を確認するのは難しいようです。
 センターポールの付いた三脚ならセンターポールの垂直を水準器か、糸を垂らして調節します。
 (糸を垂らす方法は風があると揺れて厄介です。デジタル水準器使用がお勧め)
 赤道儀のマニュアルに従い極軸望遠鏡を使って北極星で極軸を正確に合わせます。
 合わせたら、固定ネジの絞め忘れがないか確認します。増し締めをした場合は合わせた極軸がずれていないか再度確認が必要です。

 撮影場所へセットをそのまま移動します。
 セット全体が重いなら、微動雲台から上でアリ溝で取り付けているものは一旦取り外して移動させてもよいでしょう。
 撮影場所で予め東西方向にマーキングしておいた印に三脚の二本の脚を合わせて設置します。
 ここでも微動雲台の水平を三脚の脚長調節で完全にします。
 設置した方向と雲台の水平が完全なら、これで極軸も合っているはずです。
 広角レンズを使った撮影ではこれでOKですが、望遠レンズを使った撮影ではどうしても微妙なズレにより、追尾ズレが発生します。

 そこで、次の方法による微調整を行うと完璧になります。

 赤道儀はONの恒星追尾状態で
 撮影に使用する望遠レンズを付けた一眼レフカメラのファインダーで、東西方位の微調整については、南天にある明るい恒星を捉えておきます。カメラファインダーの格子線表示はONの状態で線の交点に合わせておくとよいでしょう。望遠レンズの明るさにもよりますが、1等星以上の星なら液晶ファインダーでも確認可能でしょうからついでにピントも合わせておきます。
 一眼レフのファインダーで暗くて格子線が見えない場合は、レンズの前方脇から赤色ライトを当てると見えるようになります。

 カメラには触れないで1分間程度星の動きを観察します。
 あるいは10秒程度の露光1分間隔で2コマ撮影し、モニターで星の動きを確認します。
・その恒星が南に(カメラファインダーの中を下に)動いていく時は、極軸が東にずれているので、極軸の向きを西に動かします。
・その恒星が北に(カメラファインダーの中を上に)動いていく時は、極軸が西にずれているので、極軸の向きを東に動かします。
 微調整段階では、三脚の脚を動かすと大きく動き過ぎる危険性があるので、カメラファインダーをのぞきながら微動雲台で左右の微調整を行います。調整量は計算上南中の星ならファインダー内1分間ズレの4倍弱ということになりますが、星の位置によって異なりますのでズレと同量程度調整し、追い込んでいくのが無難です。

 角度については、水平が正確であれば微調整の必要性は少ないですが、東の空の明るい星を使います。
・その恒星が北へ(カメラファインダーの中を左に)動いていく時は、極軸の角度が低いので、極軸の角度を高くします。
・その恒星が南へ(カメラファインダーの中を右に)動いていく時は、極軸の角度が高いので、極軸の角度を低くします。
 カメラファインダーをのぞきながら微動雲台の角度の微調整を行います。

この作業で恒星がカメラファインダー内で全く動かなくなれば極軸が合ったことになります。

実際に1分間の露光で撮影して恒星が点で写ることを確認します。
もっと長時間露光を必要とする場合は、1分ではなく数分間とすればさらに正確になることでしょう。
 一度正確に合わせられたら、三脚の脚の位置や脚の長さをマーキングしておくことで、次回からは調整の必要は無くなるはずです。

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