初めてのデジタル一眼レフ

2004年8月8日

 私はこれまで一眼レフカメラを持ったことが無かった。デジカメは初期のものから使ってきたが、デジタル一眼レフは無茶苦茶高かったから欲しいとも思わなかった。一番最近までは一眼っぽいEVFを使用したミノルタのDimage7を使ってきて、主に山の風景や野草の花を撮ってきた。風景については、DiMAGE7の広角端は35mm判換算28mmのため、全く問題なく使えたが、花の撮影において、200mmマクロはそこそこの結果が得られたものの、50cm以上離れてしまうとこれがCCDの小さいデジカメ(DiMAGE7は2/3型CCDのためデジカメとしては大きい方であるが)の不利なところで、ボケに限界がある。被写界深度の狭さ(ボカシ易さ)はレンズの焦点距離(=CCDサイズ)の二乗とレンズの口径(f値)に比例するのでCCDが大きいカメラほどボカシ易いということになる。プロ写真家の作品やコンテストでの上位入賞者の作品を見ていると、実にうまくボケを活かしているのに感心するばかりである。写真というのは使う機材に大きく影響されるのだというのを実感させられたものである。

 そしてついに、私も我慢できなくなってデジタル一眼レフカメラを持とうと決心した次第である。デジタル一眼ならフィルムより若干小さいものの、コンパクトデジカメよりはかなり大きいCCDを備えており、レンズは口径の大きなものを選択する事も可能であり、ボケのコントロール範囲がかなり広がる。決心できたもうひとつの要因はデジタル一眼レフカメラの価格が低下し、私にも何とか手が届くところまで下がってきたことである。CANONのEOSKissデジタルが2003年秋に10万円台前半で発売され、続いてNIKONのD70が2004年春に同じく10万円台前半で発売された。これがここにきて本体最安値が10万円ちょうどのレベルまでになったからだ。

 買える価格ではEOSKissデジタルかD70のどちらかであるが、D70はグランプリを獲るなど性能評価がKissを上回っており、価格比較ではKissであったが、性能優先でD70を選んだ。フィルムカメラからデジタル一眼に移行する人は手持レンズがどちらかで決まってしまうのであろうが、手持レンズの無い私は純粋にカメラ本体の性能で選択ができたのである。とは言ってもあまり大きな性能差があるわけではなく、バッテリーの持ち具合と連写性能、撮影条件設定の自由度の多さ程度である。

 デジタル一眼レフを選んだ場合、次に問題になるのが、まず、どのレンズを選ぶかである。金に糸目をつけないのであれば、広角、マクロ、望遠、超望遠で、できるだけ明るいレンズを揃えれば良いのだが、そんな金があるわけはない。私の総予算は15万円しかない。コンパクトフラッシュも必要なので、レンズには3万そこそこしか回せない。レンズキットを買えば良いのかも知れないが、それだと今のDiMAGE7とあまり変わらない。インターネットで調べまくった結果、私の1本目のレンズとして、タムロンのAF 28-300mm UltraZoomXR f3.5-6.3LD3LDAspherical[IF] MACRO (Model A06)を選んだ。やけに長い名前だが、28-300mmのオートフォーカスズームレンズだ。評価は色々あるが、良い点はズーム倍率が大きく1本で間に合う。最大300mmの割には小さく軽い。300mmでも最短0.49mでマクロ撮影可能。問題とされている点は広角側が28mm×1.5=42mmで不足である。全体にやや暗い。ボケが不十分。であるが、私の用途として山で花を撮るには、1本で間に合うのは機材重量やかさで大歓迎。最大450mm相当の望遠なら野鳥も撮れる可能性がある。広角が必要な場合は従来のDiMAGE7が使える。暗いのはISO800まで実用範囲とのことでISOでカバーできそう。三脚か一脚を使えば望遠側のブレはカバーできそう。ボケ不足でもこれまでのDiMAGE7よりはかなり良さそう。ということで、これに決めた。

 購入先は価格.comで探した。カメラ、レンズ共最安値なら予算内で収まるが、カメラ最安値の店はレンズやコンパクトフラッシュを扱っていないとか、レンズの最安値の店はカメラが高いとか、問い合わせたら在庫が無いなど、関東近辺の店では適当な店が無かった。そこで、ネット販売で全国に範囲を広げて調べたところ、カメラ、レンズ、コンパクトフラッシュ、リモコンのトータルで最安値の店が関西の方で見つかった。早速そこへ注文、すぐに本日発送予定との返信が入った。ちなみに○○○カメラとか○○電機のポイント分を引いても15,000程度の価格差があり、余裕をもって予算内に収まった。品物は注文の翌日昼頃届いた。

 さて、このセットをうまく使いこなせるかどうか。とりあえず、自宅内でマニュアル片手にいじくってみたが、明日はどこかへ出掛けてみよう。 そしてD70入手翌日、試し撮りで奥日光戦場ヶ原へ出かけた。途中夕立に遭い、条件としては良くなかった。

 まず、レンズの暗さはISOでカバーすることにし、ISO400にセットした。雨で暗かったためシャッター速度は全体的に遅目であったが、F2.8-3.5のDiMAGEと大差はなかった。Autoにすると、シャッターを半押しする度にストロボがポップアップし、困った。

 起動の速さ0.2秒はすばらしい。また、AFの速さについてA06の口コミ情報はあまり良くなかったが、DiMAGE7とは全く異なり「速い」という感じがした。やはり、TTL(Through The Lens)位相差検出方式の優位性を実感した。
 28-300mmレンズの広角端の画角は思っていたより狭い感じがした。35mm判換算で28mmと42mmの差は下の比較の通りでかなり大きい。風景を撮るにはD70のレンズキットの18-70mmが必要になりそうである。それまではDiMAGE7で間に合わせることにしよう。↓

DiMAGE7の広角端で撮影, 35mm判28mm相当

D70, Tamron28-300(A06)の広角端で撮影35mm判42mm相当
左の黄色い枠になり、この差は大きい。

 望遠側はさすがに35mm判換算450mmなので、予想通り野鳥も辛うじて撮れた。しかも手持である。一瞬とまった野鳥を機会を逃さず撮るにはやはり応答の速い一眼レフであろう。望遠端で撮るとなると少なくとも一脚くらいは使うべきである。トリミングすれば「野鳥のいる風景」が撮れそうである→









 最後にマクロ撮影であるが、これは焦点距離が長い分充分にボケを活かす写真が撮れそうである。←


 一週間後には、62mmプロテクトフィルターと一脚を買足しました。  Tamron AF 28-300mm UltraZoomXR f3.5-6.3LD3LDAspherical[IF] MACRO (Model A06)のレンズについて、価格.comの口コミ情報によると、300mmで「シャープさが足りない」「ねむい」などのマイナス情報があった。実際自分で撮ったものも望遠端ではシャープネス不足が多いので、果たして本当なのか、自分で実験してみた。

 下のテストチャート写真は28mm広角端と300mm望遠端でほぼ同じ大きさになるように撮ったものを同比率で拡大したものです。どちらも三脚、リモコン使用です。さて、どっちがどっちかおわかりになりますか。

 答えは、Aが300mm、Bが28mmです。ほとんど差がないですね。ということは、300mm望遠端でもレンズそのものの描写性は劣らないと言えます。上記のマイナス情報は超望遠であるがためのブレによるのでしょう。f6.3と暗いためどうしてもブレ易いのである。望遠端で手持や一脚で使う場合はISOを800程度にするとか、三脚、リモコンを使えば広角端同様のシャープネスが得られると思われる。

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