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★★ ヤフオク2度目の落札は失敗 ★★
2018年09月17日

 筆者は天体撮影で使う機材をヤフオクで漁っていたのであるが、「いいな」と思うものはいつも自分の査定よりも高い価格で落札されて手に入れることはできないでいた。一体何を漁っていたのかと言えば、口径203mm(8インチ)のシュミットカセグレン望遠鏡である。口径が小さい127mm(5インチ)のシュミットカセグレン望遠鏡はこの趣味を始めた半年後には新品で購入して使ってきたのであるが、天体撮影という趣味は次々と高級な物が欲しくなるもので、しかもそれが途轍もなく高価なのである。新品では最低でも10万円である。それがまともな中古で6~8万円で落札されているのだ。多少問題ありの年代物でも4万円である。

 ある時、筆者が本命で狙っていたセレストロンC8とはメーカー違いのミード社製8インチの物が天体望遠鏡とは異なる「カメラレンズ」のジャンルで出品されているのを見つけた。外見は良さそうであり、異なるジャンルなら競争相手も少なく多少は安く落札できるのではないかと考えた次第である。残念ながらミード社製の情報は少なく、新品ならいくらぐらいかとか、性能を評価出来る情報は何も得られなかったが、天体撮影を始めて2年半になるので、望遠鏡についての知識はそこそこ持っているつもりで、セレストロンとの性能差は殆ど無いのではないかと、楽観視したのである。シュミットカセグレン望遠鏡の肝は補正レンズと主鏡、副鏡がきれいで、光軸が合っているかまたは合わせられるものということである。出品された物は外観はきれいで、補正レンズはまあまあ、主鏡もカビや汚れは無さそうであった。副鏡は外からは見えないので写真もない。一般的に、主鏡が正常であれば副鏡も同程度以上であるはずである。殆ど情報がないまま、セレストロンC8と同じようなものであろうと判断し、4万円ならOK、上限は5万円とみてオークションに臨んだ。あまり早く入札するとどんどん入札価格が上がってしまうので、終了日時の1時間ほど前から4万円で入札してみた。当初確か1000円スタートであったのが、どんどん上がっていく、筆者入札の4万円までは自動入札になるので、しばらくは何もしなくても筆者が最高額入札者でいた。ところが、ついに4万円を超える入札者が出た。そのまま放っておくと落札できないので、次は4万4千円で入札した。すると相手も入札価格を上げてきて終了時間には4万4千円を超えた。終了時間の5分前に入札があると、時間が自動延長される仕組みだ。ここでまた1人競争相手が増えた。ここからは筆者も少しづつ入札価格を上げていく。最後に4万6千円を出したところで競争相手も引き下がり筆者が4万6千円で落札できた。

 筆者の査定通りの物であれば、「めでたし、めでたし」で満足できるはずであった。前回同様、「Yahoo!かんたん決済」を使って支払い手続きを行った。翌々日には現物が届いた。外見は思っていたよりはきれいな物であった。夜が晴れていてそのまま天体撮影に使っておれば、こんなものかと多少の不満を持ちながらも、使っていたかも知れないが、ドン曇りで、翌日も曇り空であったので、じっくり弄り回していた。補正レンズの内側に若干のホコリの付着が在ったので、分解して洗浄してみようと思いたったのである。このような望遠鏡は分解すると光軸がズレて再調整が必要になるので、慎重に分解していった。前にも分解したのか、あるいは新品の組み立て工程で付けたのか、取付位置を合わせるための印が要所要所に付いていた。「これなら組み立ても楽だな」と思いながら分解していった。そして補正レンズを取り外し裏がえして副鏡を見た途端、ガックリ。副鏡のアルミ蒸着面に無数の点状剥がれが有った。大きい剥がれは径2mmほどもある。おそらくカビによるものと思われた。これは掃除してもダメで、かなり大きく光量低下を起こすように思われた。対策としては再蒸着しかないのだ。

 副鏡の不良にガッカリしながらも、再組立てし、次の晴れた夜に光軸を合わせて撮影に使ってみた。駄目だとの先入固定観念もあるのであまり良い結果は得られない。撮影データから計算すると、以前から使ってきた口径5インチの物よりは少しは良くなるはずであるが、結果は同等以下であった。

 結局、落札入手した2ヶ月後にシュミットカセグレン望遠鏡の副鏡としては、殆ど前例のない副鏡の再メッキを強行した次第である。これには関連費用も合わせて約1万円の出費と多大な労力も伴ったのである。後日に知ったことであるが、この望遠鏡は発売40年でおそらく35年物と推察された。この中古相場は3万円ほどであり、再メッキして使える状態にして4万円がよいところであった。筆者がかけた総費用は6万円ほど。結局は2万円ほど高く落札してしまったということである。

 まあ何とか使える状態にして、使っているが、この落札は失敗だったなと猛反省している。

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