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★★ プリンターは壊れなくても使えなくなる ★★
2017年10月06日

 筆者が講師を務めているパソコン教室で、ある一斉講座を開催するので使用するテキストを印刷していたところ、2部目の印刷途中にインクカートリッジ交換となり、交換したところ、交換した色が出ず変な色になってしまった。ノズルチェックをしたら殆どが詰まった状態なのでノズルクリーニングを実施したところ、結果の印刷が出来ず「廃インク吸収パッドの吸収量が限界に達しました。エプソンの交換窓口に交換をご依頼ください。」とのメッセージが出て、何をしても動かなくなってしまった。パソコン側に出てきたメッセージを見ると、くどくど理由が説明され、その中に、応急的に警告を消すには「リセットツール」というものがあり、サポートセンターに申請するともらえるとのことだった。画面を辿って申請できそうなフォーム画面があったのでそこから申請しところ、2~3時間後に申請画面が違うので、正規のフォームから申請してくれとの返事、普通なら正規の申請画面URLが記されて良さそうなものであるが、不親切にも記されていない。色々探し回ってようやく正規の申請フォームを見つけて申請したところ、サポート受付時間が終了する17時にインクがあふれ出る可能性があるなどの注意事項を承諾する旨の返信を5日以内にしろとのメールが届いた。最初の申請前にこんな注意事項は理解した上で申請しているのに二重に承諾要求をしてきたのだ。これに返信をしたものの、もう時間外で今日は何の音沙汰もない。「リセットツール」は提供したくないというメーカー側の姿勢がありありと見えた。

 今日中に印刷しなければならないので、仕方なく、近くのヤマダ電機へ出掛け、最低限必要な機能を備えた最低価格のEP-879ABを税込15,098円で購入してきた。大量に印刷するので、インクカートリッジも1箱購入、これがまた6色セットで税込7,916円と高価だ。合計23,014円。インクカートリッジ2箱でプリンター本体が買える。これがプリンターメーカーのビジネスモデルなのだろうが、A4判1枚で12円、L判写真1枚16円(平均的データ)もかかったのではユーザーとしては耐えられない。パソコン教室はボランティアでやっているのでテキスト代で回収できるのはA4判1枚で8円であり、1枚あたり4円の持ち出しになる計算だ。そこで、仕方なく、これまではサードパーティーの補充インクを純正の約1/4の価格で使ってきたのだ。純正インクが高すぎるので、補充インク業者のビジネスが成立しているのだ。

 また安く補充インクを買えばいい、と考えたのだが、これまでの補充インク購入先のサイトを見たら、当機種用は開発中とのこと。慌てて別のところを探すとちょっと高いが税込9,072円で純正4箱分の補充インクとリセッターのセットが販売されていた。これだと、A4判1枚が4円程度になりそうなので、今度インクが無くなったらこちらから購入することにしようと、とりあえずお気に入りに登録しておいた。

 この「廃インク吸収パッドの件」筆者の認識では警告だけで、本当に溢れる障害が出た時に吸収パッド対策をすればいいだろうと甘く考えていたのだが、印刷枚数か、カートリッジ交換回数がカウントされており、カウントがある値に達したら、プリンターが(スキャナー機能も含めて)全く動かなくなってしまうのだ。吸収パッドは自分で交換すれば出来そうなのだが、メーカーはそれを許さず、15,000円+送料他で修理するとのこと。新品の価格よりも高いので、買い替えてくれと言うことになる。廃インク吸収パッドはキッチンタオルでも代用出来そうな感じで、実際1,000円程度でリセッターソフトが販売されている。これもメーカーが「リセットツール」提供を渋る理由でもあるようだ。

 インクジェットプリンターというものは壊れなくても寿命があるということを始めて実感した。Windowsのサポート期間があるのと同様、壊れなくても一定期間を過ぎて使うと危険だということである。Windowsではサポート終了年月日が明示されているので、ある日突然使えなくなるということはない。プリンターもカウンターで管理しているなら、カウンター値を明示して後○○回インクカートリッジ交換したら使えなくなるなど、終了時点をはっきりさせるべきである。最近のエコタンク搭載モデルでも廃インクパッド交換やリセットについては改善されていないようだ。

 とにかくプリンターは壊れなくても寿命があるということなら、コスト計算で考慮する必要があるということである。

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