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★★ われわれは一般投資家ではなく一般損失家 ★★
2016年08月04日

 先日NHKの「あさいち」で年金の特集をやっていた。年金は我々既にもらっている世代にとっても、将来もらう世代にとっても関心の高いものである。ところが、番組の内容には希望の持てる役立ちそうなものは何もなかったようである。

 これまでに何度も言われていることであるが、もらえる年金は減るだろうとか、老後に必要な生活費は年金だけでは不足であるということ。その対策として個人型確定拠出年金がよい。というのが大体の内容であるが、「果たして確定拠出型年金なるものをやってよいのだろうか」というのが筆者の感じたところである。

 筆者は既に年金をいただいている歳なので、確定拠出型年金に加入はできないが、退職金や貯蓄などを基金と同じように投資信託とか定期預金で運用はしている。ところが、個人資金は増えるどころか、かなり減っているのが実情である。定期預金は金利が無いに等しいので箪笥預金と同じであるが安全な方法である。ところが増えることを期待した投資信託は当初は少し増えたものの、放置していると基準価格がいつの間にか大きく下がり、分配金を含めても元本を大きく割り込んでいるのだ。扱っている銀行の説明では投資信託は長期間保持するのが良いとのことであったが、短期では増えたが長期では損失になるという銀行の説明とは逆の結果である。投資信託はプロが運用しているといっても、いつまでも本気で取り組まないのではないかというのが筆者の見方である。ファンドはなぜか次々と新商品を作り出すのだ。新商品に客を集めて手数料で稼ごうということであろう。新商品に取り組めば、旧商品は当然ながら放置に近い状態になり分配金は減り基準価格は低下していく。そのうち償還して大損で終わる。これが一般的なパターンである。投資信託の平均寿命は7年弱、儲かる期間で見れば3年もたないらしい。

 損しない運用をしたいなら、いつもシャカリキに価格の動き、分配金の動きを見て、行き詰まりを感じたら、良さそうな新商品に乗り換えるということをやらなければならないということであろう。これは素人ではなかなか大変なことである。確定拠出型年金も加入者個人が運用方式を選択する形なので損をする可能性が大きい。結局は年金をもらう時には総掛け金よりも目減りしてしまった。ということになるのではないだろうか。筆者が以前加入していた基金も運用失敗で破たんしてしまい、膨大な掛け金の1/10も戻ってこないという結果である。どうやら「投資」という世界は多くの一般投資家から金を集めて銀行や証券会社やファンドだけが儲ける仕組みが出来上がっているようである。彼らを儲けさせているのは我々一般投資家?というより一般損失家なのである。

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